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ベルが鳴り響く朝、きみと目が合う。
きみはぼくに微笑んで、ぼくはさっと目を伏せた。
きみと話したいのに。きみの笑顔が見たいのに。どうしてぼくは目をそらしてしまうのだろう。
授業中、そっと横顔を見つめる。
退屈な講義、きみは眠たそうに目をこすった。
その姿を見れるだけで幸せ。前はそう思っていたのに。いつからぼくは贅沢なことを望むようになったのだろう。
休み明けのある日、きみと同じ班になった。
窓の外を眺め、ぼくは興味がないふりをした。
こんなに近くにいるのに。手の届く距離にいるのに。何をぼくはためらっているのだろう。
「図書館に行こう」、誰かがそう言った。
きみは手を挙げ、嬉しそうに立ち上がった。
日常の光景。何気ない仕草。だけどその時ぼくは心を奪われた。
忍ぶれども隠しきれないこの気持ちは、周りも皆知っている。気づいていないのはただ一人。
でもそれも終わりにしよう。こんなもどかしい思いをするのはもう耐えきれない。
きみはどんな顔をするのだろう。
咲くように笑うのだろうか。それとも困ったように笑うのだろうか。
どちらに転ぶのかは分からない。
少しの期待と、ちょっぴり不安。
それでも、この気持ちは本当だから。
だから明日、きみに伝えよう。
甘くて切なくて温かい、この想いを。