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2-5(閑話)
「そうそう、昨日の件の続きだけどね、その手のイベントが実装できない理由はもう一つあってね」
次の日、健康診断中にコウヘイが話をはじめた。
「はい」
「たとえば、君がホワイトワールドの中で絶頂に達したとすると、リアルワールドの君も花火を打ち上げることになる」
「回りくどい表現ですね」
「物理的な接触がなくても脳の興奮だけで花火が打ち上がるわけ。夢であったりするだろ?」
「朝っぱらからアレな話ですね」
「まあまあ。それでね、君がゲーム内の一晩で2回、3夜連続で花火を打ち上げたとすると……そう。現実では3時間で6回になるわけだ。それはさすがに健康に悪影響が出る」
「というわけで、ホワイトワールド内では実装しない」
「なるほど」
「あと、おしっこもしない。トイレが不要」
「言われてみれば」
「でも食事はできるし、味もわかる」
「どこまでリアルにするか、現実と同等にするかは常に問題になるわけだけど、ゲームの楽しさや快適さとのバランスだよね」
「確かにそうですね」