1-3(閑話)
アルバイトの話が終わってアパートに帰ってきた。
いつもの部屋だが、朝ここを出た時から印象は大きく変わっている。
まっさきにパソコンのコンセントを抜いた。
ディスプレイ上のWEBカメラにアルミホイルを貼り付けた。
テレビのコンセントも抜いた。
そして手元のスマホを見た。
きっとスマホからも見られているのだろう。
「どうしようか…」
ホワールドが敵ってわけじゃないけど、監視されるのは気持ち悪い。
とはいえ、テレビやパソコンはともかくスマホが使えないのは不便だ。
とりあえずカメラを両側ともテープでふさぐ。
「あとは下手なことを話したり書いたりしなければ良いか」
少し心に余裕がでてきた。
スマホのゲームを立ち上げ、習慣のログインボーナスデイリー単発ガチャを回す。
ガチャのエフェクトが茶色から赤へ、赤から銀色へと変わる。
「お、ラッキー」
銀色が金色、そして虹色へ。画面に稲妻が走る。
「嘘?」
ドン!
当たり確率0.00001%の超レアキャラが出た。
「嘘? やった! ありえない!」
『私を冒険に誘ってくれるの? 嬉しい! もちろん一緒に行くよ!』
キャラクターボイスが流れた。
「ありえない……っていうかホワールド? えっ? まさか!」
頭にホワールド研究者の苦笑いが浮かんだ。
思わずスマホを放り投げた。
1月27日 ほんのちょっと修正。ストーリーに変わりありません。