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親の見栄

 親に本当のことを言ったら、とんでもないことになる、読んでいただけたでしょうか。

 親というものをもっとよく理解していただくために、次のことも読んでいただきたいと思います。

 塾に三人の男子生徒がいました。

 三人の共通点は、

 同じ公立高校を落ちた。(この公立高校に落ちるということは、本人にとっては、特に地方の人間にとっては、非常に重大なことで、一生引きずるといっても過言ではありません)

 母親が全員薬学部を卒業している。

 なのに誰も薬剤師をしていない。

 そして、母親同士が友達である。

 最初に旧帝大の薬学部を出た人のお子さんが塾に入って来て、その紹介で、私立の薬学部ではトップの大学を出た人のお子さんが入って来ました。

 この二人は、同じ私立高校の同じ学年です。

 もう一人の男子生徒は、高校も違う私立で、学年も一個下です。

 母親もただの私立の薬学部です。

 この子が最後に入って来ました。

 この時、私立トップの子供が、言ったのです。

 「また来たよ」

 彼の話によると、

 中学の時に通っていた塾にも、現れ、

 私立トップが公立高校に落ちると、次の年に、ただの私立の子供が無理矢理同じ高校を受け、同じように落ち、

 高校に入って、また、ここに来た、

 のだそうです。何故か対抗意識を燃やされている、と。

 誰も薬剤師をしていない、と書きましたが、

 旧帝大の家は税理士で、

 私立トップは会社経営

 経済的に豊かです。それに対して、ただの私立は一般家庭です。

 しかし、ただの私立の子は、

 「ジャニーズ事務所に所属している」

 と、言ったら、女子生徒達が信じたほどカッコイイ男の子なのです。

 ただの私立の親が対抗意識を抱き、自分の子の方が優れていると判断し、会社経営にぶつけてきたのでしょう。

 「対抗意識を燃やされている」

 と、言っていた私立トップの子ですが、その後、彼自身もぶつけられてしまいます、親によって。

 相手は、当然、旧帝大の子です。

 旧帝大の子も、高校入試の時に、受かりもしない地元のトップ校を、親によって受けさせられているので同じようなものです。そういう意味では、三人共お仲間なのです。

 旧帝大の子は、ある国立大学の工学部を希望していました。

 成績的にはカスリもしないので、現役では当然駄目で、浪人しても、センターを受けた時点でもう無理、と、なってしまいました。でも、浪人してまで目指したのだから、受けるだけはしよう、と、なったのです。

 私立トップの子は、母親の命令によって、私立の医学部を受け続けさせられていました。ただし、本人も医者になるのは嫌ではないようでした。

 大学入試をクリアするのが、辛すぎるだけ、もちろん、何年も浪人することになりました。

 これだけだと接点が無いのですが、偶然が重なってしまいました。

 旧帝大の子が失敗したセンター試験で、私立トップの子が、また、良い点を取ってしまったのです。

 また、と、書いたのは、前の年、つまり現役の時も良い点だったのです。

 私立トップの子は、私立医学部希望ですから、国語も社会もいらないし、センターで少しくらい良い点を取っても意味が無いのです。その状況でクラスのトップを取ってしまったのです。

 クラストップといっても、公立に落ちた人が行く私立高校なので、地元の国立大学に受かる程度なのですが。

 それでも、彼が通っていた私立高校では、大切な国立大学合格要員なのです。センターの自己採点が報告されると、手の平を翻し、彼に国立大学を勧めてきました。私も勧めました。

 それに対して、母親も彼も

 「センターで良い点を取ったからといって、態度を変えやがって」

 と、鼻たかだかになってしまいました。

 結局、受かりもしない国立の医学部を受けて、落ち、せっかくセンターで良い点を取れたのに、無駄にしてしまいました。

 センターの点数は、大学に合格しなければ、何の価値もないのです。(センターの点数で特待生にしてくれる予備校があったことも、例外もあるのですが)

 一度宝くじを当てて、無駄使いをして、なくしてしまったら、また当たったようなものなのです。二度目の高得点は、慎重に使うことを学習したようです。

 私立トップは会社経営、と、書きましたが、母親の実家なだけで、創業者でも、能力が高いからなれたわけでもないのです。母親の兄弟やその子達に対抗しなければならないのです。そのために、無理をしてでも、医者にならなければならないのです。

 こう書くと、ますます旧帝大の子と接点がないように思われるかもしれませんが、もうお分かりですよね。

 そう、母親の兄弟の子達の中に、旧帝大の子の志望校に合格した人がいるのです。

 私立トップの母親は、自分の子に旧帝大の子の志望校を受けさせて、

 もし受かれば、

 センターで高得点を取った証拠ができる

 親戚に対抗できる

 もし落ちても、

 受かる見込みのない記念受験と違って、自分の子は合格を狙えるまともな受験生という優越感を抱くことができる

 こう判断して、極秘に受験させたのです。

 公立高校の入試や国立大学の前期試験は、普通の人にとっては、一生に一度の、人生の中で最も重要なイベントの一つ、だと思われますが、現実に塾によく来るタイプの親は、こんな感じで扱っているのです。

 特に、旧帝大の母親、このタイプの人は塾によく来ますね。喋り方や声まで、そっくりにコピーした人が来るので、ビックリしてしまいます。

 塾にとっては、よくある出来事なのですが、これを書いたのは、実は、続きが書きたいからです。

 それは、またの機会にさせていただきたいと思います。


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