親と成績操作
塾のテストの答案を見て、バツがなく、マルだけついていたら、その塾は、成績操作をしており、速攻でやめたほうが良い、読んでいただけたでしょうか。
そういう塾は居心地が良く、人気もあるため、(そのために成績操作をしているのですから、当然なんですが)続けたければ、それでも良いのかもしれません。
実害は、塾を信じた親が大恥をかくくらいです。
○○式というのが大規模展開しておりますが、その人気の秘密は、成績操作をしやすいシステムを考え出したことにあります。子供が伸びた、と、親に勘違いを起こさせるのに向いたシステムなのです。
小学生の時に、○○式で良い成績を取っていた人が、中学生になるので、私の塾に入ってきました。
塾の生徒のお母さんが、同僚を紹介してくれたのです。
紹介者のお子さんは、地元のトップ校で十番くらいの優秀な人で、もちろん中学の時は学年で一番です。
そうなると、親の見栄の張り合いになるのか、志望校は県外にある某有名私立大学附属高校だと、自信満々に何度も母親が言っていたのです。
でも、定期テストの結果が返って来て。
塾に答案を持って来た時、母親は下を向いてブルブル震えていました。よほど子供の点数が恥ずかしかったんでしょうね。よく、「なろう」で見る「生まれたての小鹿」を、オバさんが演じていました。
しかも、持って来た答案も、比較的点数が良いものだけ。
悪いのは、悲惨過ぎて、塾にも見せられないのです。
ここで私は塾の禁句を言ってしまいました。
「他の教科も、成績を上げないと」
第二話で、
「勉強しろ」
と、塾は言ってはいけない。
読んでいただけたでしょうか。これと同じ内容のことを、私は言ってしまったのです。
効果は覿面で、次の日から子供は塾に来なくなりました。
子供の方は、○○式が騙してくれたおかげで、勉強が嫌いでなく、塾も一回も休んだことがなく、宿題も進んでやる子でした。時間さえあれば、徐々に成績が上がって行くと思われます。非常に残念です。
何故、塾が騙すのかというと、親というものを理解しているからです。「親馬鹿」というものを解っていないと、塾が潰れるからです。
私は大失敗をやらかしました。
「あなたのお子さんは天才ではない、という証拠は、一つもない」
と、母親に向かって言ってしまったのです。高校二年生の母親です。
あなたのお子さんは天才ではない
という部分が大問題だったのです。子供が高二ですから、理性では、理解できる話だと思われますが、感情は別なのです。見る見る顔が青ざめていき、次の日から子供は塾に来なくなりました。
こんな母親を相手にしているのですから、本当のことなど、絶対に言えません。成績操作をしてまでも、ご機嫌を取りたいのは、よくわかります。
学校の先生が、合ってもいない答えにマルをつけるのも、同じ事情だと思われます。
普通の市立ではない、教育熱心な父兄のお子さんが集まる中学で、よく見かけるからです。




