成績の上げ方
塾は生徒に勉強しろと言ってはいけない、読んでいただけたでしょうか。
たとえ奇跡の合格を出しても、喜んでくれるのは本人と母親だけ、周りの人は違うのです。特に女の子は。
ある女子校では、推薦入学は極秘事項なんだそうです。合格者に対する周囲の態度が変わってしまうからです。イジメや嫌がらせを受ける場合もあります。大学に合格しても、受験生のふりを続けなければいけません。
ある新任の先生が、ホームルームの時間に、
「合格おめでとう」
と、やってしまい、大顰蹙をかったそうです。
ただし、この場合は、秘密をばらされた生徒は、友達から同情してもらえたそうです。
学校の教師や塾の講師は、本心から、生徒の成績を上げたいのです。第一話を読んでいただいた方なら、もうおわかりかと思いますが、実は、ある方法を使えば、成績を上げるのは、超簡単なのです。不合格者を合格させられるのですから。
職員室にもどる度に、テストの点数が変わっていた
これです。
私が初めてこの業界に入った時、その塾では、成績操作が行われていました。
やり方はこうです。
まずテストをします。
答案にマルだけつけます。この時に、絶対にバツはつけてはいけません。
それから配点を考えます。そう、つまり生徒の出来具合を見て、配点を決めるのです。もちろん成績を上げるためです。
でも、これだけだと、零点には対処できないですよね。その時のためにバツをつけないのです。不正解をマルにしてしまうわけです。
算数の答案に、正解が80のところを、たまたま8と書いてあったことが、ありました。経営者の奥さんに報告すると、マルにせよ、と、指示が出たので、従いました。採点者が見間違えたことにしたのです。マルにするにも、なるべく自然なかたちにしたいのです。
ちなみに、この塾は40年以上続いています。
成績操作をしているのは、塾だけだと、お思いかもしれませんが、学校の先生も、やっています。
何故わかるかというと、生徒が学校の定期テストの答案を、塾に持って来るからです。
それを、私は、
「ほう、これでマルなのか!」
とか、
「学校の先生も、苦労してんな」
とか、思いながら見ています。
全然違うことが書かれているのに、マルになっている答案を見て、生徒に真実を伝えるべきか迷ってしまいます。
もし、できましたら、その辺について、御意見を伺えたら、うれしいです。
本当のことを教えなければならない職業なのに、立場上、言えないことが多過ぎて、嘘ばかりついているのです。広告の修業として書き始めた文章なのですが、本当のことを伝えたいという気持ちが、強くなってしまいます。仕事じゃあ、できないですからね。




