不登校の彼の合格 (1)
我が人生の師、不登校の彼の母親は、中学生の時イジメられていたのですが、私立のお嬢様学校に進学すると、楽しい高校生活が送れるようになりました。そのため、その学園を大変気に入っていました。その学園は、キリスト教系で、後に、大学もつくりました。
不登校の彼の一家は全員キリスト教徒です。
その学園の大学なら、受けても良い
というお許しが、両親からやっと出ました。
それまでは、某国立大学の理学部を希望していたのです。
彼は小学生から不登校になり、中学は一度も行かず、通信制高校は七年かけても卒業できないのに、
国公立大学しか行かせない
という条件を親が出したのです。
世の中をナメ過ぎです。
平仮名しか書けないのに。割り算できないのに。
まあ、この一家が世の中をナメていなかったら、彼がイジメにあうこともなく、不登校にもならず、国公立大学くらい、もう入っていたのかも知れないですが。
私も世の中をナメているので、彼を国公立大学に入れようと考えていました。中学に入学してすぐに不登校になった生徒を国公立大学に合格させた実績がありましたからね。
不登校の生徒を国公立大学に入れる
塾のロマンですよ。
国公立大学に合格した不登校の人は、中学に入るとすぐにイジメられて、学校に行かなくなってしまいました。塾では非常に礼儀正しい人なのに、塾の外で会うと、私から逃げて行くんですよ。
ある時、スーパーの駐輪場で倒れた自転車を起こしていたんですよ、その不登校の人が。たまたま私の自転車でした。それで声をかけると、私に喧嘩を売ってきたんですよ。その時に私だと気づいて、礼儀正しい、塾でのその人に戻りましたが。
その人は、その人のことを知っている人は全て敵なんですよ。だから視力が良いのに、塾の外で会うと私だって気づかないんです。我が人生の師よりも遥かに重症です。月に一度、横浜の有名な心理カウンセラーのところまで通っていたそうです。
我が人生の師は、過去に不登校だったというだけで、他人と普通に話せるんですよ。ただ、相手が嫌っている、というか、相手が見下して来るだけで。
国公立大学に合格した不登校の人は、前期に東大を受けて落ち、中期で公立大学に合格して入学しました。
東大に合格していれば、中学の時にイジメられたのは、
その人が優秀過ぎて、周りから妬まれたから、
イジメた人が百パーセント悪い、
ということを、世間様に堂々と主張出来たのに。
でも、噂では。
これは、他の生徒から聞いた話です。
私の経営していた塾は、その当時、ある小学校の隣にありました。
国公立大学に合格した不登校の人は、その小学校出身です。
噂を教えてくれた生徒は、その人の後輩になります。
その小学校には、地元の国立大学附属中学に六名が合格した
伝説の学年
というのがあります。その伝説の学年の伝説の六名の中の一人が、国公立大学に合格した不登校の人なんです。その人の名は、その小学校の保護者の人達にも知られているのです。
その人が、附属中学に入るとすぐにイジメられ、不登校になってしまったのは、その小学校の関係者にとっても、ショックな出来事だったのです。
しかし、不登校という大きなハンデを跳ね退け、
東大に合格した
ことにより、
中学でイジメられて不登校になった無念を晴らした
という噂が、その小学校の関係者の間では、広まっているのだそうです。
本当は落ちたんですけど。




