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晴耕雨読

他人にイジメられる天才

 我が人生の師、不登校の彼は、そういう人です。

 彼と初めて会った時、彼は二十歳を越えていて、私はその倍以上の年齢だったのにもかかわらず、

 子供の頃に会っていたら、絶対ぶん殴っているんだろうな

 と、思っていました。

 彼を殴らなかったのは、

 いいかげん大人になっていたから、

 仕事でやっているから。

 ぶん殴る理由は、ただ単に

 気に食わない

 だけ。

 それが、天才たる証ですよね。

 彼は存在するだけで、他人を攻撃的に変えるのです。

 彼は何も悪いことはしていないし、言っていません。

 でも、それ以上の効果があるんですよね、不快にさせる。

 まさしく、天才です。

 そう、彼は何もしないんですよ。

 彼に会うまでは、

 晴耕雨読

 っていうのは、

 聖人君子のやるもの

 だと、思っていました。なんか、そんなイメージありません?漢文だと、そんな感じですよね。

 彼はまさしく晴耕雨読なんですよ。

 イジメられたら、学校に行かなくなり、

 雨が降ったら、塾に来ない。

 彼、雨が降ったら、本当に塾に来ないんですよ。

 塾を休んだ理由を、

 雨が降ったから

 と、お母さんに言ったら、キレられて、

 雨が降ったくらいで、塾を休む人が他にいるか!

 と、言われたそうです。

 彼は、置かれた状況に適切に対応しているだけなんです。

 自分からは仕掛けないだけで。

 基本原理は

 逃げ

 になります。

 敵から攻められたとき、その守り方は、36通りある。

 でも、その36通りある守る方法よりも、逃げるほうが優れている、

 三十六計逃げるに如かず

 ですよね。

 私は、この言葉の意味を大人になるまで、知らなかったですね。

 言葉自体は知ってましたけど、意味は考えていなかったですね。

 素晴らしい

 最高

 ですよ。

 いろいろ経験して大人になると、

 あの時にこれを知っていたら、

 という場面が幾つも頭に浮かんで、

 あの時はこうすればよかったのか、

 と、今さら、正解がわかりました。

 彼は、

 最高の戦略

 を実行しているだけなのです。

 今の若い人って、こういう人が多いですよね。

 賢いっていうか、

 苦労しているっていうか。

 そういう若い人達と接してみて、気付いたのです。兵法にも書いてなかったことが。

 兵法を越えられたでしょうか?

 逃げ

 は、素晴らしい作戦ですが、唯一の欠点を持っていました。

 何だと思います?

 それは、逃げという戦略は、素晴らし過ぎる、ということです。

 一度逃げを使ってしまうと、馬鹿らしくて、他の戦略が使えません。

 逃げしかできなくなってしまうのです。

 もう、新しい戦略を身につけることは、ありません。

 成長することは、ないのです。大人になってしまったということです。

 なろうの主人公が逃げないのは、

 逃げてしまえば、全てが簡単に終わり、成長しないから、

 つまらないのです。

 不登校の彼は、最高の戦略を

 早く

 使い過ぎました。

 私は、麻雀と競輪が好きです。

 麻雀が好きな人は、

 流れに上手く乗ること

 を、重視し、

 競輪が好きな人は、

 展開が全て、

 と、考えます。

 どちらも、晴耕雨読的な考え方です。聖人君子の思考だと、勘違いしていました。

 私は、彼と出会ってからは、

 彼だったら、ここでどうする?

 と、考えて、

 彼がしない行動

 をするように、心掛けています。

 そんな彼ですから、

 早く死にたい

 と、よく言っていました。

 彼の御両親が亡くなれば、

 ホームレスになるしかない

 と、自覚があったようです。彼も馬鹿ではないですからね。

 そんな、

 生きていても、仕方がない、

 早く死にたがっている

 怖いものなんて何もない

 不登校の彼

 を恐れさせた、

 死より怖い、

 本当の恐怖について、次話に書かせてもらおうと、思います。

 

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