22 誘います
1話目を投稿してから早1か月が経ちました。いつもこのような拙作をお読みいただき、更にはブクマ登録までしていただき、本当にありがとうございます。目標まで滞ることなくお届けできるよう全力を尽くしていく所存です。これからも生温かくお見守りいただければと思います。
簡潔ながら前書きにて失礼いたします。それでは今話もよろしくお願いします。
学校での意識が高くなった。
ブランに説教されてからは、ブラン達の依頼内容についてしつこく尋ねたり、レジーに依頼の手伝いに連れていけ、としつこく言うのもやめた。
もちろん、しつこくするのをやめただけで、冒険者になるのを諦めた訳ではないし、言いたい時は言っている。ただその言い方が以前よりめちゃくちゃ真面目になって、断られたら潔く引き下がるようになっただけなんだけど、そうすると逆に断られることが少なくなってきて、とっても嬉しい。
説教を受けて、ブランが僕の学校生活をかなり優先してくれてることが分かった。それ以来、どうしてそんなに優先してくれるのか、他にもブランがどんなことを考えているのか、ブランの価値観とか倫理観というのも気になって、いろんなことを聞いてみるようになった。
そこで、ブラン達が中等部に通っていないことは知ってたけど、初等部にも通っていなかった、ということを知った。冒険者に必要な知識を、読み書きや計算といった最低限の段階から、独学しなければならなかったそうだ。
依頼主にいいように言いくるめられてどんな痛い目に会うかも分からなくて、というか実際に痛い目にあったらしい。しかもブランのパートナーはノワールだから、どうしてもブランが交渉力を上げざるを得なかった、とか、苦労談が次から次へと溢れてきた。
今ではそれなりに問題無く依頼をこなせる程度の交渉力を身につけている。とはいっても、ほぼ経験だけで得たために、偏っている自覚があるらしい。それに対して僕は、学校で満遍なく正しい知識を効率良く勉強できているから、それがどれほど恵まれていることかっていうのがよく分かるそうだ。
その知識が絶対にブラン達を助けることになるから、将来のために今は依頼とかに誘わずに我慢してる、と言っていた。さりげなく僕とのパーティー結成を当然のように考えてて、そんなブランの期待に応えるために真面目に勉強するしかなくなってくる。
そんな風にして、今までほどほどにやっていた勉強に真面目に取り組むことにした。サボり組がひーひー言ってるのを横目に、筆記試験では高得点を、一部の科目では学年1位を叩き出してやった。
今は夏休みだ。そして僕にとって2回目のお祭りがもうすぐだ。
今年のお祭りはどう過ごそうか。学校の友達6人組、ブラン達、ベレフ師匠とそれぞれ1日ずつ回りたいな、そうすると最終日は誰がいいのかな、やっばり去年一緒に花火を見れなかった師匠かな、なんて考えていたけど、そんなに都合良くいかなかった。
6人組はお祭りが終われば帰省組と寮組に分かれる。というかレジナルドしか寮に残らないらしいので、3日間のうちどの日でも大丈夫そうなのは安心した。
だけどブラン達は依頼がばっちり重なっていて、1日も空いていなかった。イベント時というのは警備が手薄になりがちで、この時期に貴族や商家の衛兵を引き受ければかなり稼げるらしい。ブランは申し訳なさそうだったけど、ノワールはその金で肉が食えることしか考えてなかった。
そしてベレフ師匠は去年よっぽど強引に抜け出して恨みでも買ったのか、強制的に最終日に仕事を入れられたらしい。この世の終わりのような顔をしていた。さすがにかわいそうだったので、最終日の最後には研究所のブースに行くことを告げたら、師匠の瞳に光が戻ったので安心した。
予想外の結果に、さて、どうしたものか、と頭を悩ませる。6人組と3日間遊び回る、なんてこともできるけど、それはそれで確かに楽しいかもしれないけど、それってどうなの、としか言い様がない。僕がブラン達やベレフ師匠と回りたかったように、みんなも誰か回りたい人が別にいるかもしれないのに、付き合わせる訳にもいかない。
こうなるなら僕を誘ってくれた女の子に即断りの返事をしなければよかったか。でも別に仲がいい訳じゃなかったし、1日ぐらい別のことでもしようか。イベント時の図書館って人が少ないだろうし勉強日和かも、なんていろいろ考えながら寮の入口を潜った。
「腹黒君、おかえり」
「クリスですよ、ただいま帰りました」
まさかの寮の先輩によるお出迎えだ。僕、そんな待ち伏せされるようなことしたっけ、なんて内心ドキドキしながら先輩に挨拶を返し、そそくさと部屋に戻ろうとする。しかし、先輩が僕に歩み寄り、紙束を、いや、大量の手紙を押しつけてきた。
「それ全部女子から。羨ましい。けしからん」
その量に驚いてまじまじと両手いっぱいの手紙達を見てみれば、なんと全て開封済みだった。当然、僕はまだ読んでもないし、そもそも開けてもいない。そうすると誰が開けたのか、開けてどうしたのか、なんて考えるまでもない。
「なんで勝手に読んでるんですか」
「寮の風紀を乱しかねない緊急事態だったからな。俺としても不本意ではあったが、内容を全て確かめさせてもらった」
それって一生徒がすることなのか。先輩、貴方に何の権利があってそんなことをしたのか、と怒っていいところかもしれないけど、ただただ呆れるばかりだ。まあ、男子寮だもんね。僕だって男子だ。なんていうか、分かる。これは当然の結果と言えるのだろう。たぶん。
気づけば寮の中から先輩やら同級生やらがぞろぞろと出てきていた。もしかして全員が僕への手紙を読んだのだろうか。一部申し訳なさそうではあるけど、みんなすごく真剣な顔をしている。ちっとも他人の手紙を勝手に読んだことを隠そうとする意思が見られない。いっそ清々しいまでのドクズ達だ。
「腹黒、いや、クリス君。我々から折り入って頼みがある」
全員が一斉に頷く。心の底からめんどくせえと思った。
ありがとうございました。
前書きに建前、後書きに本音を書くとするじゃないですか、いろいろ考えたんですけどあれですね、処女作だから優しくしてほしいな、あ、でも、ちょっとだけなら……って感じですかね、よく分かりませんね、ごめんなさい。とにかく読んでもらえて嬉しいです。えへへー。




