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18 約束します

今話もよろしくお願いします。

 長い休日が終わろうとしている。




 レジーの警戒が解けたからか、肉の力か、お互いの料理を交換、というか僕がじっと見つめれば、みんな笑いながらも肉を一切れ差し出してくれるから、ありがたく片っ端から食いついていったんだけど、そうするうちに自然とみんなでいろんな話をするようになった。


 ブラン達に学校や寮での生活を話したり、逆にブラン達の生活を聞いたり、今まで話せなかった分を全て取り戻す勢いで、とにかく話しまくった。


 食後にジュースやお茶、僕だけパフェも頼んで、落ち着いたころで席を立ち、いつの間にか済んでいたお会計に驚きながらも、出入り口で見送ろうとしていた語り部、じゃなくて給仕のお姉さんに、とても美味しく食べれました、ごちそうさまでした、って正直に告げたら、また来てね、サービスするから、なんて言われて頭を撫でられた。



「今日はありがとな!久しぶりに美味い肉が食えた!クリスのおかげだ!」


 東広場に戻って僕たち生徒3人をベンチに座らせてから、満面の笑みでノワールが言うのをブランが苦笑しながら見ていて、やっぱりお財布にかなりの大打撃を与えちゃったんじゃないかなあ、と心配になってしまう。


「僕こそ、ありがとう、本当に美味しかった。ごちそうさまでした」


 レジーとアルもごちそうさまでした、と言う様子を見て、ノワールまでごちそーさん、ってブランの肩を叩いてるし、ブランが困ったように笑いながらノワールに何かを耳打ちすると、ノワールはへらへらしながら、こえー!助けてクリスー!って叫びながら僕の後ろに回って寄りかかってきた。僕の頭の上にぽん、と何かが乗るのを感じながら、ブランを見上げて口を開いた。


「ねえ、次はいつ会える?」


 ブランが驚いたように目を見開くと同時に、僕の頭の上から声が聞こえた。


「しばらく王都にいるからなー、いつでも会えんじゃね?」


「ほんと?やったあ、また会おうね!」


 おう、と頭の上から何かが離れて、ぽんぽんと僕の頭に手を置いて髪を撫でるノワールを、えへへ、と自然と緩むに任せた笑みを浮かべながら見上げると、ブランみたいな優しい顔をしていて、少しびっくりしてすぐに俯いてしまった。


「今日はこれで解散しよう。クリス、怪我は治ってるけど、今日はもう無理せずゆっくり休むように」


 少し心配そうな声で告げるブランに頷いてみせて、ブラン達に見送られながら寮へと戻る道中、アルが給仕のねーちゃんかわいかったな、とか、肉への重い愛さえなければいいのに、とか、サービスって何だろうな、なんて相変わらず下品なことを言ってるのを適当に聞き流していると、黙っていたレジーが、また警戒の色を滲ませながら口を開いた。


「ギルドに登録してから2年であれか。得体の知れないヤツらだな」


 てっきり肉を奢られて、すっかり警戒を解いたかと思ったのに、レジーは逆にますます警戒の度合いを強めてしまったみたいで、僕の危機感が足りないのかなあ、なんてちょっぴり不安になった。


「俺らみたいに年上についていってたとかじゃねーの?そんなに気になるか?」


 アルも僕と同じように感じてるみたいで、きょとんとした顔で尋ねてるし、やっぱりレジーが警戒しすぎなんだろう。


「大丈夫だよ、何度も助けてくれてるし、今日だってご飯を一緒に食べただけだし」


 いやあ、本当に美味かったよなあ、なんて呟いてるアルの横で、僕の言葉にレジーが嫌そうに顔を顰めながら口を開く。


「アイツらに1人で会うなよ。俺か、俺が無理なら誰かを連れて行くか、万が一1人で会うことになっても人気の無いところに連れて行かれないように気をつけろ」


 自覚してねえってめんどくせえなあ、なんてぶつぶつ言ってるレジーに、どういうことか聞こうかと思ったけど、その前にアルが、分かったなら返事、なんて年上ぶって言ってくるのに少しいらっとして、アルの方が危ないんじゃないの、綺麗なお姉さんのお尻を追いかけないようにね、なんて言い返して、軽く言い合ってるうちに寮にたどりついた。


 結局、レジーに聞くタイミングを逃したまま、部屋に戻ることになった。



 すっかり部屋が暗くなっていた。


 どうやら思ったよりも疲れてたみたいで、いつの間にか眠ってしまっていた。寮は静まり返り、窓から見た街並みも真っ暗で、夕食すっぽかしちゃったなあ、それにずいぶん中途半端な時間に起きちゃったなあ、どうしようかなあ、と悩む。


 とりあえず、あまりお腹は空いていないけど、共用キッチンに何か残ってないかなあ、と思いながら、足元が見える程度の灯りを光魔法で作って扉へ向かうと、扉の隙間からメモが差し込まれていた。中身を読んでみれば、僕の体調を気遣う言葉で始まり、僕が夕食を食べに来ないことを説明して、ご飯を残してもらったから、食べれそうなら食べておけ、といったことが、レジーの字で書かれていた。


 さすがレジー、頼りになるなあ、なんて思いながらキッチンへ向かい、すっかり冷めた夕食を熱魔法で温めながら、ブラン達とたくさん話したのをぼんやりと思い出し、次はいつ会えるかなあ、なんて考えていたら、ふふっ、と笑い声まで漏れてしまった。



 どこかから狼の遠吠えが聞こえた。

ありがとうございました。

さりげなく会計を済ます性格イケメン白髪マッチョ

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