盲導犬
社会の闇を見た。
駅を歩いていると盲導犬を連れたお爺さんがいた。
「かわいいですねぇ」
声をかけた。かわいいラブラドールだ。私は犬好きだ。
「おう、全然駅の奴来えへんねん。呼んでずっと待ってんねんけどな」
爺さんの言い方に若干のトゲを感じた。少しすると駅員さんが来た。
「介助に来ました」
「お前、遅いねん!!!」
周りが振り向くほどの怒鳴り声である。感じ悪い。ラブラドールは悲しげな目で駅員さんを見つめている。
「申し訳ございません」
「早よ行くぞ!」
スケベ根性で少し尾行してみる。エスカレーターに乗った際、爺さんがつまづいた。
「何のためにお前おんねん!おかしいやろ!何しに来とんねん。もっと俺らを大事にせいや!何で俺らを優遇せえへんねん!お前なんか協会に言ったら一発やぞ!」
後ろから見てたけど駅員さんはちゃんと「エスカレーター乗ります」って言ってた。本人のミスである。これはイチャモンだ。何やねん「一発やぞ」って。盲導犬は申し訳なさげに駅員さんを見つめる。
ホームに降りた。まだ、尾行を続ける。
ジジイは今度は駅長批判をし出した。
「駅長って土、日休みで高給取りやろ!おかしいわ。あいつら楽して高級もろて。もっと俺らに回せや!」
間違いなくお前よりはエライよ。何か腹が立って来たので後ろからぶん殴ってやろうかと思った。すると駅員さんが
「いえ、駅長は大変だと思います。何かあったら責任取らないと行けませんし。駅長出せって言われますし・・・」
ええやんけ。駅員さん。もっと言ったれ!
「でも、土、日休みで高給取りやろ!もっと俺らを大事にせい!」
こいつダメだ・・・
電車が来た。
「俺は座れなあかん人やねん!席無かったら承知せんぞ!お前なんか一発や!」
席は空いてた。座ったが非常に腹が立った。駅員さんはもっと腹が立ってるだろう。
なぜ、介助してもらって「ありがとう」の一言もないのか。
なぜ、あんなにエラそうなのか。
なぜ、あんなジジイに盲導犬を付けてやるのか。
TVは盲導犬メインで特集するけど、こんなクレーマーが盲導犬使ってる事も報道してほしい。
駅員さんがどっかにクレーム出したら盲導犬没収される制度出来てほしい。
その盲導犬は余生を過ごす。早期退職出来る。
盲導犬は人を選べず・・・




