ふたりめ
ファミレスを出た後は日課の買い出しに勤しんでいた。
商店街から魔王のために大量の食材を買い込み、両手のビニール袋をパンパンにしての帰宅。
家に帰るころには正午。あっという間に昼食時になった。朝に食べたサラダはもう消化されて腹が鳴る。褐色が食材をひとつももってくれなかったので、それに対して愚痴を言いながら帰ってきた。
家に入り、大量の食材で持ち手がずるずるになったビニール袋を玄関に置く。一つ二つ。
「はぁ……疲れる」
やっと重さから開放されて一息つく。
と、違和感に気づいた。
「……………………え?」
部屋に人の気配を感じて奥を見るとちゃぶ台の奥に金髪のツインテールの少女がちょこんと座っていた。正座でこちらを見ている。まるで人形のようで一瞬置物かと錯覚する。
由樹はちゃぶ台をはさんで仁王立ちし、その少女に問いかけた。
「どちらさまですか?」
「…………」
彼女は何もいわず真正面をじっと見ている。こちらを見ることなく目の前を見ている。すると視界の端に褐色の美女。
彼女はその少女の横に正座した。
「う嗚呼ああああああああああああああ!!!! って叫びたい」
叫んだ後に叫びたいなどと冷静に錯乱状態の由樹は二人を見て、頭をかかえた。
少女の背後の窓ガラスから風が部屋に入り込み、カーテンを揺らした。塞いでいたはずのダンボールが少女の横に転がっていることに気づいた。