レイジーの騎士生活 帰郷しました。
箸休め程度に呼んで下さい。
4日目の昼過ぎ、村の門の前にいた。
「こんな所にに村があったんだ。運が良かったな」
「いや、俺の出身村ですよ、ここ。ちょっと待ってて下さい」
「え!?」
馬に団長を残して門番に挨拶をする。今の格好では逃亡した犯罪者って思われるかもな。
「レイジー生きていたのか!?どうしたんだその格好」
「え、なんで」
「この前の戦争での戦死通知が来たんだよ」
「まじか。すまん、怪我人がいるんだ。車椅子持ってきてくれ」
王都に出る前、覚えている限りで地球の知識をフル活用していろいろ作ってみた。車椅子はその中の一つだ。
「あぁ分かった。待っていてくれ」
村に入った団長は村とは思えぬ発展ぶりに驚いているようだ。
「すごいな、ここは」
「そうですね。村のみんなが頑張ってくれたおかげです」
車椅子を押しながら歩いていると向こうから妹が走ってきた。
「お兄ちゃぁぁん」
「おぉどうした」
「よがっだぁじんじゃったがどおぼっだぁ」
号泣して何言ってるかよく分からない。が、心配してくれたのだろう
「俺は大丈夫だって。はい、泣き止め」
「うん」
「団長、妹のリリです」
「か、家族。まだ覚悟が・・・」
「え?」
「いやなんでもない」
「・・・お兄ちゃん。誰、この女」
胸元から底冷えするような声が聞こえてきた。小さい頃、構い過ぎで若干ブラコン気味だったのを忘れていた。
「じょ、上司だよ。騎士団長のキルリカ・キルリッヒ様だ。伯爵家の人なんだ」
「伯爵家・・・なら大丈夫。(ボソッ)初めまして、妹のリリです」
「よ、よろしく」
団長の声が微妙に上擦っていた。俺の妹すげぇ。
「お母さん達が待ってるよ。村のみんなも集まってるんだから」
「そ、そうか。わかったすぐ行こう」
「家族、もうか?まだ早くないか?か、覚悟が・・・(ボソボソ)」
団長が何か言っているようだが、よく聞こえないので無視だ。
家族への生存報告も済ませ、団長に村を見せて回っていた。未だ付いていた枷は道具で壊してもらった。
「この村は本当にすごい。鍛冶に農業に畜産まで何でも高水準だな」
「ちなみにこの村の近くに良質の鉱物がとれる地下鉱床があるんですよ」
しかもここには異世界ならではのオリハルコンってのもある。
「この車椅子もどうやったら鉄をこの形に出来るんだ?」
「まぁそこは秘密って奴ですよ。それよりも温泉があるんです。入っていって下さい」
「え、一緒にか?」
「いや、違いますよ!妹を呼んでありますから」
さすがに次団長の裸を見たら理性が飛ぶし。道中の治療とかひたすら無心だったしな。団長が温泉に入っている間にしたいことがいっぱいある。
団長を妹に任せてから鍛冶場に来ていた。
「おやっさん、俺が行く前から提案してた“アレ”どのくらい出来てる」
「おう、出来てるぜ。完成してるのは今のところ4本だけかな」
「すまないけど、1本だけ残して、残りは大剣に仕直してくれない?」
「どんぐらいだ?」
「幅25長さ160かな」
「ギリギリいける。だがどう頑張っても明後日の朝だな」
「全然大丈夫。じゃ、よろしく」
次は服か
「おーい、おばさん」
「まぁ本当に生きていたなんて嬉しいわぁ」
抱きつかれても・・・。ごめん、ちょっと重い
「落ち着いて、頼みたいことがあるんだ」
「何?出来ることなら何でもするわよ」
「服を仕立てて欲しいんだ。女性用なんだけど」
「そういえば、女を連れ帰ってきたって行ってたわね。恋人?」
「違うし。採寸はリリがしてると思うからさ。蚕の奴でよろしく」
「この村の最高級じゃないの。やっぱり恋人なのね」
「違うって、じゃあ頼んだよ」
はぁ、疲れる。あとは、何かあったか?・・・あ、首を塩付けにしとかなくちゃ