夜空の喧嘩
夜空の喧嘩
昔、紅い太陽と青い星が
闇に浮かぶ月を巡って
激しい喧嘩を繰り広げた
太陽と星が空から消え
月も空からゆっくりと消えて
空は全くの闇に帰ってしまった
欲張りな太陽が、夜にも輝きたいといい
傲慢な星が、昼にも夜にも光りたいといった
太陽は、夜から追い出す月を妬み
星も、いつまでも光る月を疎んだ
でも人々にはどうでもいいこと
太陽は白く昼に輝けばいい
星は月と共に夜を照らしてくれればいい
空からみんな消えてしまったら
喧嘩の意味がないじゃないか
そのことに気がつけなくて
太陽は月を引き込み
星は月を引き裂いた
闇の中の人々は
街灯の中、喧嘩を見ていた
喧嘩が終わってしまえば
結局もとの鞘に収まるだけ
無意味に喧嘩して
怪我をしたのにこれでお終い
人の都合なぞ考えないから
地上に戻った太陽と星は
怪訝な顔を向けられるだけ