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悪代官は時代劇には欠かせません。

今日はよく晴れた雲ひとつないまさにピクニック日和だ。

しかし俺、神谷彰かみやあきらは部屋のなかでムラムラしていた。

今いる部屋は俺の部屋だ。

隣にいるのは超可愛い俺の大切な恋人である森川桜もりかわさくら通称桜ちゃんだ。

桜ちゃんはとにかく天然というか真面目というか・・・。

そんなところも愛しくて仕方がない俺。

しかしそんな桜ちゃんは無垢で子猫みたいで大切だからこそ・・・

アレを・・・セックスをすることができない。

ヤりたいのはヤりたいがあんな純粋な子にそんな不粋なことはできないのが内心一杯なのだ。

襲うなんてとんでもない。この間兄貴である河合玲也かわいれいやに無理やり襲われたんだ。

俺がそんな事をしてしまったら桜ちゃんの人生を壊してしまうことになるのは

目に見えている。

俺は超能力者だ。だから桜ちゃんの記憶を消すことなんて容易いことだ。

でも、恋人である桜ちゃんとの思い出は一つたりとも消したくない。失いたくない。

桜ちゃんとの思い出はすべてが本当でありたい。

俺が我慢すればいいだけのはなしなんだよね・・・。

今まで散々いろんな子とヤってきたが罪悪感なんて微塵もなかった。

むしろ相手も承諾しているのだから罪悪感もなにもないんだけどね。

「あっくん?」

いきなり呼ばれて横を見ればそこには心配そうに俺を見上げる桜ちゃんがいた。

「どうしたの?桜ちゃん」

俺は正直心配そうに見上げる桜ちゃんにトキメいていた。

「いや、あのな・・・あっくんが全然喋らなくなったから心配になって・・・」

「大丈夫だよ。ありがとう。少し考え事をしていただけだから。」

桜ちゃんは笑って「そうか。ならいいんだ。」と言ってやりかけだった

学校の宿題のプリントに視線を戻した。

桜ちゃんの魅力といえばまずあの笑顔!!

可愛さがハンパないんだよねぇ~。

そしてなにより性格。

いつも照れてツンツンしているところも可愛いさながら

俺のことが心配になると近づいてきて心配そうな顔でたずねてきたりする。

そんな桜ちゃんを動物に例えると‘子猫ちゃん’。

綺麗でいて可愛くて気が強くてでも何気に甘えてきたり。

そんな子猫ちゃんにムラムラしているのはだぁ~れだ?

「は~いおっれでーす!」

いきなりワケのわからないことを発したから桜ちゃん仰天もいいところ。

「ど、どうしたの?マジで大丈夫?病院行ったほうがいいんじゃないか?精神科行くか?」

桜ちゃんは心底心配そうな顔で俺を見上げている。

おそるべし天然美少年!

俺は桜ちゃんにハグをしてみる。

桜ちゃんは少々驚いていたがすぐに背中に手を回してさすってくれた。

桜ちゃんはマジで俺の精神がやばいと思っていたことは心を覗くまでもありませんでしたとさ。











「はぁ・・・桜ちゃんかぁ~・・・」

図書室のカウンターで頰ずえをつくのは神谷彰の元恋人の安形実あがたみのる

彰から別れを告げられたときはショックでこっそり後ろをつけていくと

そこには自分が振られた原因である桜がいたのだ。

じっと見ていると桜の行動と言動ひとつひとつが可愛いことに気づいてから

今では恨めしい人間ではなく超気になる人間なのだ。

「はぁ・・・」

本日何度目かのため息をこぼしたときふと誰かが目の前に立っていることに気づいた。

実はすぐに図書委員の顔にもどり顔を上げた。

「返却ですかそれとも・・・・!?」

目の前にいるのはとても可愛い顔を本で隠している(隠せてないけど)森川桜だった。

「か、借りるんです。」

桜はそう言うと横をプイッと向きながら持っていた本を3冊前にだした。

「な、なんですか?何か俺変な顔でもしてますか?」

桜は不満そうに尋ねてきた。

実は不自然に顔が笑っていたのだ。

「いや、君が図書室に来るなんて珍しいなぁ~って思っただけだよ」

実は桜がきて喜んでいることを悟られないようににっこりと笑いながら言った。

「本屋でなかなか見つからない本があってここの図書室ならあるかなとおもって来ただけです。」

「あ、これ僕も読んだよ。とっても面白かったんだよ。主人公が

未来を読むことができてその主人公の恋人は超能力者ていうやつ。‘友達か恋人か?’っていうやつ

だよね。」

そう言い終わって桜を見てみるとなんと驚き。

なぜか笑顔なのだ。

「どうしたの?なんで笑ってるの?」

桜はニコニコしながら口を開いた。

「お父さんから聞いたんですけどこの作品が好きな人には悪い人はいないと聞いたんです。

あなたのこと悪い人だと思ってたけどやっぱり俺の勘違いだったんですかね。

あなたはいい人なんですね。」

実は動かしていた手を止めてもう一度桜を見た。

今度は笑顔でも真顔でもなく驚いた顔で見上げた。

桜からは嫌われているとばかり思っていた。原因は自分だが。

ましてやこんなに気持ちを率直に伝えることができる子にあったことさえなかった。

実は内心大喜びだ。今にも踊りだしたいきぶんだ。

だがそこは隠して笑顔で言う。

「ありがとう。でも君に悪い人だと思われていたなんてショックだなぁ~」

桜は決まりが悪そうな顔をしながら笑った。

「俺に怒ってばっかりだったから・・・」

なんて純粋で可愛い子なんだ。

「いいよ。本当に悪い人かもしれないでしょ」

そう言いながら手を再び動かし始めた。

「あなたはいい人です!」

いきなり桜が怒鳴った。

驚いて持っていた本を取り落としそうになった。

実が上を向こうとしたがそれよりも速く桜が口を開いた。

「あなたはいい人なんです!!あっくんも言ってましたよ。あなたはあっくんのことを

自分のことのように考えて行動に移してくれたと。

好きな人にはとことん優しくしてくれると聞きました。だからあなたはいい人なんです。」

実は口をポカーンと開けたまま上を向いている。

そこでやっと桜は自分が変なことを言っていることに気づいたようだ。

「あ、ごめんなさい。あの・・・気分を害しましたよね。ついあっくんの話をしてしまって。」

桜はしどろもどろしている。

内心なんとも思っていない実。

だが、ここで腹黒実が出るのだ。

「本当だよねぇ~。結構ショックかも」

そう言いながら目元を手で押さえてみる。

こんな演技は普通の人であればすぐバレる。しかし桜は違う。

「すみませんっ!」

そう言いながらうしろポッケからチェック柄のハンカチを取り出して

実の前に差し出した。と、言うよりも無理やり顔に押し付けた。

「うぐっ」

いきなりのハンカチ窒息攻撃に苦しくなって涙目で押し付けるのを止めた。

「桜君・・・ごぼっ・・・君僕のことやっぱり嫌いでしょう」

実は咳き込みながらぼそっとつぶやく。

しかしそんな声は必死な桜には聞こえていないようだ。

「すみません。その・・・気分を悪くさせるつもりは一ミリもなくってですね」

あせる桜を見るのもいいと思い実は演技を続けた。

「ひどいよう・・・僕彰君のこと一生懸命忘れようとしてたのにぃ~」

実は調子にのって桜に抱きついてみた。さすがに恋人がいるのだから拒むであろうと

思っていた。

しかし拒むどころか実を抱きしめていた。

「すみません。でも俺もそういう気持ちとっても分かるんです。あっくんと別れたとき

そうだったんです。」

桜は涙目になりながら言った。

『行ける!今なら落とせるかも』

そう感じた実は桜をそのまま押し倒した。

「うわっ」

桜は驚いて声を出した。

カウンター越しだったため実は急いでカウンターから出た。

そしてすぐに桜にまたがった。

「君のせいだよ。君があんまりにも可愛いから。それといつもひっついてる

あのあっくんっていう番犬も今日はへばりついてないからね。

今が食べ時って感じ?」

実はそう言うと桜にキスをしようとした。

しかし・・・・

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!控えろ控えろぉうっ!こちらにおわす方をどなたと

心得るっ。恐れ多くも水戸の若君、神谷彰様にあらせられるぞっ!!頭が高ぁぁぁぁい!!」

いきなりの登場にあっけにとられる二人。

しかしそんなことにも動じず彰はずかずかと近寄ってくる。

「そこの安形実こと悪代官よっ!我の超愛らしい桜を返せ」

そう言って桜にまたがったままの実をはがし取り桜を抱き上げた。

「これにて一件落着ぅぅぅぅぅ!!」

踵を返して先ほど来た道を帰ろうとした。しかし

実こと悪代官は彰の戯言にのった。

「待てぃっ若君もどきがっ!!桜は私の桜を返せ」

彰はこれも計画のうちと言った顔をしてにやっと笑った。

「では桜本人に聞いてみようではないか。どうだ桜。我と悪名高い悪代官のどちらが

良いか言うてみい」

桜は繰り広げられる時代劇もどきにいきなり引っ張り込まれて驚く。

「え、俺?!」

目を見開いて彰を見る。こんなシチュエーション前にもなかったっけ。

しかし彰はいたって真面目な顔をしている。

観念した桜は頰を赤らめながら口を開いた。

「俺はあっくんが好きです・・・」

白状した。しかし

「あっくんとは誰のことだっ!我は彰様だ」

彰は鋭いところを突っ込む。

「え・・・彰様・・・」

桜は少しためらったが口を開いた。

「俺は・・・彰様のことが好きです」

なんだこの罰ゲームもどきは。

桜はそう内心つぶやく。

彰は満足そうな顔をしている。

実はというと・・・笑っている。

「今は彰くんが好きって考えを埋め込まれているだけだよ。

だからいつか必ず桜は私のものにしてみせるさ。今日は返してあげる。」

そう言ってカウンターの中に戻って先程まで座っていた椅子に腰をかけて足を組んだ。

桜は彰に抱っこされたままの状態で図書室をあとにした。







「ねぇあっくん」

ねだってねだってやっとベンチに降ろしてもらえた桜は隣に座って

ジュースのプルトップを開けている彰に話しかけた。

「なぁに桜ちゃん」

あけたばかりのジュースを桜に手渡しながら彰は聞き返した。

「あのさぁ・・・なんであの人は俺を押し倒したんだろうね」

自分のぶんのジュースのプルトップを開けて口をつけていた彰は横目に桜をガン見した。

「え・・・気づかないの?!あの人は桜ちゃんのことが好きなんだよ。

だから押し倒して・・・」

「でもあっくんの話をしたら忘れようとしてたのにぃ~って泣いてたよ」

「そんなの演技に決まってるじゃんかっ!!俺があの人の声を超能力で拾ったから駆けつけたんだよ。

束縛なんてしたくないから野放しにしていたけど・・・たまたまテレポートを使ってみたら

あの人の心の中の声が聞こえて・・・」

そこまで言って桜を見てみる。

桜は笑っている。

「なんで笑ってるの桜ちゃん。これは重要なことなんだよ」

そう言うと桜はもっと笑顔になった。

「いや・・・考えてもらってるんだなぁ~って思うとなんだか嬉しくって」

桜はギュッと彰に抱きついた。

「当たり前じゃないかっ!俺は桜ちゃん一筋なんだよっ」

抱きつかれて嬉しくなったのを隠そうと強がってみる。

「ありがとうあっくん・・・。」

ぎゅぅぅぅぅぅっと抱きしめる手がなんとも愛らしくてしかたがない彰っち。

しかしそんなムードを壊しに来た人物が一名が二人の前に立った。

「校内でイチャつくとはいい度胸ではないか。彰君。」

そう。そこに現れた男は紛れもなく彰の兄である河合玲也であった。

「兄貴っ!」

「河合さん!」

二人同時に叫んだ。

彰はともかく桜は河合がトラウマなのだ。

「やぁ可愛い桜。こんな奴の恋人ではなく僕の恋人にならないか?」

そう言って怯えている桜に触れようとした。

しかし悪代官が言ったとおり彰は番犬のように桜の前に立った。

「撫でるなら桜ちゃんじゃなくて可愛い弟の俺を撫でてくださいよ。」

そう言って気味の悪い笑












顔を実の兄である河合に向けた。

すると河合は呆れた顔をして彰の頭をパシッと叩いてからその場から立ち去った。

「あっくん強いね。いろんな意味で。」

彰はえっへんと笑った。









その現場を4階にある図書室の窓から見ていた人間が一人いた。

「本当に可愛いのう・・・桜ちゃんは・・・悪代官の私にぴったりの子じゃ。」

顔からは想像もつかないことを顔からは想像もつかない声でぼそりとつぶやいたのは

考えるまでもなく実だ。

「いい人か・・・ふふっ」

嬉しくてたまらない悪代官であった。





彰が何故時代劇モードで登場したのかは未だに謎であった。


                                  ~続く~






本作品を読んでいただきまことにありがとうございました。

今回のできはいかがでしたでしょうか?

今回は更新が遅れてしまいました・・・。

なんとも今年は受験生だったものでなかなか書く暇がなくすいませんでした。

おかげで志望校に自己推薦で合格させていただきました!

自分でも驚きですね(´д`)

これからも作品に精を出していきますのでどうか

応援などよろしくお願いいたします。

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