◆第8話◆再会
亮二率いる小隊の後からは訓練生は居らず、正規部隊らしい人が多く見えた。その数から小隊と言うより大隊だ。
「何で亮二達がここに居るんだよ!?お前らは第三支部を守っているはずだろう!!」
確かにそうだ…。何故第三支部の守護を任されておきながらそこを離れているんだ?…まさか!!
「話は後にしましょう。それより皆を安全な所へ非難させたいのですが…」
そう言ったのは九州中央海病院の時もいたメガネを掛けた青年だ。
「河谷大尉…。しかし、コイツは信用できません…!!」
俺を指差しながら健太郎が言った。すると亮二が一歩前へ出る。
「平生さんは白だよ兄貴…。黒だったらこんな所に居ても利点がないだろ」
亮二に言われ健太郎はやっと黙った。
「早くここを離れましょう。PPGOLに追跡されている可能性があります」
河谷大尉がそう言った。
「確かこの近くに太宰府での大戦の時に使われた軍施設があります。そこなら第三支部程ではないですが安全ですし、多少の食料は残っていると思います」
いかにも不機嫌そうな顔をしながら健太郎は坦々と言った。
「分かりました。では佐竹少尉。すぐに案内してもらいませんか?」
「了解です」
そう言うと健太郎は先頭に立ち歩き始めた。怪我を負った者については正規部隊の方々が肩を貸したりおぶったりしている。
「なんていうか…。修羅場切り抜けたって感じですね」
肩にポンと手を置きながら智揮が言う。
「うん。なんか凄く疲れた」
俺は一息つきながらそう言った。
「安心するのはまだ早いですよ。ここはまだ戦場です」
久志の言うとうりだ…。気を抜いてはいけない。いつ殺されてもおかしくない状況なのだ。
「それにしても何で第三支部の居残り組がここに来てんだろうな…。増援だったら戦闘部隊だけくるのに」
智揮の言ったように武装をしていない人達がいる。
「俺は第三支部に何かあったんだと思うよ」
「んなことあってたまるか!!」
「私語を慎め!!敵に見つかりたいのか!?」
智揮がいきなり叫んだことにより健太郎が注意をした。
「落ち着いてよ智揮。普通に考えてそうとしか思えないよ」
「でも創…。じゃなくて平生准尉そうなったら俺らはどうなるんですか?」
「分からない…。でもこれから行く先でそれは話合われるんじゃないのかな」
「とりあえず今は黙って進むしかないと思うぜ」
久志が智揮にそう言った。
◆◆◆◆◆◆
―2031年 3月31日 PM9時50分 某倉庫前―
「やっと着いた」
俺はここへ着いて言った第一声だった。外は殆どが闇に覆われ夜空には満月が浮かんでいる。その月明かりに照らされ街中にひっそりと佇む黒く年期の入った倉庫があった。
中へ入るとみんなが入れる程のスペースはないうえ明かりも薄暗い。しかし先頭につられて地下へ入ると一変した。中は普通の体育館の10倍ぐらいの広さと言っても過言でないくらい広い。夜中に歩いてきたせいか明かりは第三支部より明るい気した。
俺達は各々適当なところに倒れ込んだ。無理もないだろ。初陣で散々な目に会い、ここまで休憩なしで進んだのだ。
『第三支部の正規部隊及び訓練生の者は至急地下二階の会議室へ行き整列せよ』
無情にもそう放送が流れた。
生憎俺達は休むことさえ許されないようだ。