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◆第6話◆罠





「伏せろ!!トラックの影に身を隠せ!!」





 俺はとっさにそう叫んだ。



 そうすると周りにいた訓練生は全員身を隠す。しかし最初の一発から5、6秒位たった後、混乱して走ってその場を離れようとした女の訓練生に銃弾が命中し血しぶきが上がる。



 その様子に激怒し我を失った同い年くらいの訓練生は闇雲に発砲するが当たるはずもなく呆気なく狙撃された。



 銃弾が飛び交う中急に俺の携帯が鳴った。急いで電話にでた。




「平生無事か!?」




 加藤中将だった。電話からは銃声が聞こえ司令部も襲撃されている事が分かった。




「今はなんとか持ちこたえています!!一体何が起こったんですか!?」




「敵は分からない何者かに狙撃されている。それもそうとう腕のたつ連中でな」




 司令部も襲撃されているということはこれはPPGOLの罠だったのかもしれない。まんまとハメめられた訳だ。




「今さっき入った情報だが園田中将、東准将、内田大佐、栗原少将は奇襲によって既に戦死された。残って機能している主力部隊は俺の部隊だけだ…。俺は今から前方にいるPPGOLと交戦し時間を稼ぐ」




 戦死!?しかも栗原少将まで…。無意識に携帯を持つ手は震えていた。




「お前は園田中将の後を引き継ぎ残っている小隊に指示をだしながら撤退しろ。一応面倒を避けるため准尉の階級をやる」




「そんな…加藤中将、急には無理です!!」




「これは命令だ!!無線で既に園田中将の管轄の小隊は全てお前の指示に従うように言ってある!!」




「…了解しました」




「ああその部隊を任せた!!武運を祈る!!」




 そう言って電話は切れた。




「平生!!加藤中将はなんと?」



 俺の電話での会話を聞いていたらしく斎藤班長が言った。




「自分に園田中将の管轄する小隊の指揮を全部任せると」




「マジで!?でどうすんだ!?」




 慌てている智揮が言う。




 いきなり俺のもっていた無線に連絡が入った。




『平生准尉!!ご指示をこのままじゃ益々犠牲者が!!』




『前方にPPGOLが!!どっどうすれば!?』




 もうここにPPGOLが!?どうするって上から狙撃されているのに簡単に動けるわけがない。




 だが、だからといってこのまま待機しておくわけにもいかない。必死にそれぞれの隊の配置を思い出した。




「全員カバーしながら北東へ撤退!!車両の残っている小隊はそれを使え!!」




『ラジャー!!』




『了解』




 そう無線で返事が返ってきた。




 それを聞いていたこの小隊の面々もすぐさまトラックに乗り込んだのはいいがみんな後ろに乗っている。




「誰かこの中でトラック運転できる奴いるか!?」




 すると智揮がトラックの後ろから降りた。




「俺は親父のトラック何回か運転したことある!!」




 そう言い智揮は運転席に乗り込み全力でアクセルを踏んだ。トラックは激しいエンジン音を轟かせながら疾走する。



 何回か弾を当てられミラーが吹き飛んでライトが割れたりしたがなんとか無事にその場を離れることはできた。




「畜生!!何なんだよ!!撃たれた奴らみんな体半分吹き飛んだぞ!!」




 衝撃で割れていた窓ガラスから少し震えた声で智揮が言った。




「アンチマテリアルライフル(対物ライフル)を人に向けて撃ったらそうなるわ…。恐らくPPGOLの連中もそれに似た武器でも持ってたのよ」




 斎藤班長がそう答えた。




「国どうし戦争だったら人に向けてアンチマテリアルライフル撃つのって禁止されてたよね」



「いやそうじゃない。どこの条文にも《アンチマテリアルライフルを人に向けて撃ってはならない》ってのは書いてない。確かなんかの協定で不必要に苦痛を与えてはならない何とかってのを誰かが拡大柄杓して噂として広まっただけらしいぜ」




 久志がそう言った。そうだったのか…。ふと皆妙に冷静なことに気づき周りの顔を見るとみんな額の汗がひどい。




 みんな内心はすごく動揺しているのだろう。




「そういや平生准尉でしたね。失礼しました」




 久志がそう言った。俺は別にタメ口でもいいと思うがRED HOPEの規則で上官には敬語を使うことが義務づけられている。




「別に急になったんだから今のは仕方ないよ。それに俺が本当に指揮していいのか…」




「俺はいいと思います。さっきとっさに指示できたのはなかなか出来ることじゃありません。それにああいう時の平生准尉の口調は凛々しくて頼もしかったですよ」




 久志にそう言われ少し顔が熱くなった。口調が変わる事に自覚がなかった分恥ずかしかった。




「おいあれRED HOPEの隊じゃね?」




 智揮が窓から前方を指差しながら言った。




 確かに100メートル先には黒い服を着た正規部隊らしき人が見えていた。







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