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◆第10話◆会議

久しぶりの投稿です~

早く派手な戦闘を描きたいな…




 会議室へ入るとまず中央に上品な茶色の机が長々と並べられイスには河谷大尉、健太郎などの面々が揃っている。俺と亮二が座ると河谷大尉が話をし始めた。




「まず我々の身に起こった事から話したいと思います。私と佐竹軍曹で第三支部の防衛にあたっていたところ何者かが取り付けたと思われる。一つの時限式と思われる4E(プラスチック爆弾)を発見しました」




 やはり今の状況はただごとではないようだ…。




「急いで爆弾解除できる者を呼び解除させると共に他に4Eが305ヶ所見つかりました。全ヶ所の解除は無理と判断し民間人の避難を優先させました。しかし何人かは途中見逃した爆弾などの犠牲になりました。」




「支部長はご無事なのですか!?」




 俺の全く知らない顔の兵が言った。




「支部長は最期まで民間人を優先させたため爆発に巻き込まれました」




 曇った表情をしたがら河谷大尉は言った。




「司令部は壊滅か?大隊を率いた将軍達はどうなったのだ!?」




「加藤中将から私に連絡がありました。園田中将や栗原少将をはじめ、東准将、内田大佐が殉死しました。機能している部隊は加藤中将の部隊だけですが最初の連絡以降途絶えたままです」




 皆の顔も見るとうろたえていることがよく分かる。無理もないRED HOPEにおいて支部長は参謀長のようなもので軍隊の直接的指揮権は持たないが作戦などは全て支部長が考え指示する。



 栗原教官もいない。加藤中将も連絡がない。あの神田支部長は死んだ…?



・・・・・・。




 現在の会議室の空気は重く堅っくるしい…。ここはもう駄目かもしれない。今すぐどこか安全な所へ逃げようか?

 しかし自分を叱咤しその思考をすぐにかき消す。




「敵の兵力とこちらに残っている兵力はどのぐらいなんですか?」




 そう沈黙を破ったのは亮二だった。




「200機のガンシップを確認したことから約五万。こちらは動かせるのが一万二千です。兵力は他にも残っているようですが現在連絡がとれていません」




 五万対一万二千…か。兵力の差は圧倒的すぎる。普通にやっても絶対勝てないというのは言うまでもない。




「ここは今すぐ戦うべきです!!奴らに一泡ふかせてやりましょう!!」




 健太郎が言った意見に賛同した者がそうだ、そうだと声を挙げる。




「いや、戦力差を考えると様子を見るべきです」




「今更怖じ気づいたんですか!?」




「佐竹少尉。下手に動いてこちらの場所を敵に気づかれれば民間人を巻き込む形になります。そうなった場合責任をとれますか?それにPPGOLはガンシップを主力に攻めてきています。ここを総攻撃されたら反撃どころか撤退すら危うくなります」




 河谷大尉が言っていることは正しいと思う。つまり民間人の安全を第一にするなら撤退するしかないのだ…。




「しかし大尉!!加藤中将達を見捨てる気ですか!?」




 健太郎は両手を握りしめていた。健太郎の気持ちも分かる。加藤中将はこの瞬間にも俺達の援軍を待っているかもしれないのだ。




「そうは言っていません。ただもっと慎重に偵察を放って敵の情報を得てからです」




「それでは間に合いません!!」




「私だって今すぐ救出に向かいたい!!…しかし私情で軍を動かしてはいけない!!…私達がRED HOPEという組織としてすべき事を考えて下さい…!!」




 その言葉は健太郎を黙らせるには十分だった。おとなしく座るとそれっきり口を閉ざした。




「第二支部へ連絡はしたのですか?」




 反対側に座っている兵が言った。




「向こうも防衛を強化するため大人数は送れないが速急に援軍を向かわせるとのことです」




「なんだと!?」




 途端に交戦派と慎重派との議論始まった。…が丸く収まるはずもなく一触即発の状態が続く…。




「そもそもこうなったのは誰の責任なんだ!?」




 その一声でついに爆発した。支部長の作戦や死んだ将軍達の動きが悪かっただのという責任転換する者や、ここまでの損害は貴様の隊の責任だなどを言った兵と言われた方は殴り合いを始める始末だ。




 こいつら所詮子供なのか…。殴り合いは波紋のように伝染し大乱闘になりつつある。

 この光景を見て真っ先に感じた感じた感情は恐怖でもなく、呆れでもなく、純粋な怒りだった。



 河谷大尉は加藤中将達を助けたいという思いを必死に抑えながら『私達がRED HOPEという組織としてすべき事を考えて下さい』と言ったのだ。その気持ちを踏みにじるようなこの光景がどうしても許せない。




「いい加減にしろ!!仲間われしてる場合なのかよ!!」




 気がつくと拳を思いっきり机に叩きつけて怒鳴っていた。周囲は驚きの目で見ていた。まあそれもそうだろう。

 俺は昨日まで訓練生だったのだから。




「あんたらには失望したよ。第三支部ってのは…RED HOPEってのはPPGOLの脅威に団結して立ち向かう組織じゃなかったのか!?」



 言ってしまった…。だが自制しようにも、もう止まらなかった。




「それなのに…。なんなんだよ!!この有り様は!?こうなったのは誰の責任?今はそんなこと、どうでもいいだろ!!そんなこと悠長に話してる事態なのか!?あんたらこの状況を神田支部長が見てたら何て言うつもりなんだ!!」




 上官に対して口々に暴言を吐いてしまった。間違いなく謹慎は免れない、いや下手すると階級をとられる。




「貴様!!下官の分際で口が過ぎるぞ!!礼儀を知らん者は会議に参加する資格はない!!」



「だったら何故ここまで先を見据えた案や策が出てこないんだ?会議の趣旨も理解せず乱闘なんかしてるあんたらこそ会議に参加する資格はないだろ」




 俺に怒鳴った兵はまさか俺が反論するとは思わなかったのか魚のように口をパクパクさせている。




 …まあ言いたいことは一通り言い切った。

 …改めて周囲を見てみる。



 うわー上官の群れだ。しかもみんな俺を見てる。超アウェーじゃん…。



 これから散々な目にあうんだろなあ…。終わったな俺…。乙。








 しかしそこで起こったのは拍手だった。はじめは数人で拍手したのをきっかけに隣にいた亮二や河谷大尉、健太郎までも手を叩いてくれている。



 終いには部屋が裂けるばかりの音をなす拍手となった。あまりにも意外だったので呆然と立ち尽くしてしまった。しばらくしてようやく拍手が止むと河谷大尉が口を開いた。




「平生准尉の仰る通りです。責任は後回しにして作戦について話合いましょう」






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