兄と勉強会!
佐々木君と下校した後、もうすぐのテストにむけて、リビングで勉強。
生物、といきたいところだけど、今日は古典でもしよう。
古典の教科書を広げる。
「……意味わからん…」
古典は読みにくいし、分かりにくいし。
私は、古典が苦手。
「お、勉強かあ。えらいえらい。」
問題とにらめっこしていると、兄ちゃんが嬉しそうに近づいてきた。
「でも全然、わかんなくて……。」
「よし、兄ちゃんが教えてやろう。」
「やったー」
「俺国語は好きだからなあ、見せてみ」
やけに嬉しそうに隣に座る兄。
どこからか眼鏡を取り出してかける。
「じゃあ、ここ。これはどういう意味?」
私は文章中の分からない単語を指さし、兄はそれに目を向けた。
「ん、単語の意味から分からないのか?」
「……うん、まあ」
古文は本当に駄目なの。
全然やる気が出ないんだもんなあ。
「遥、これは覚えるしかないぞ?」
「えー…」
「…こりゃ特訓だな」
兄ちゃんも一緒にやってやるからと言って、その日はみっちり古文漬けになった。
「あー、どう覚えたらいいのー」
「兄ちゃんはとにかく書いて覚えたな、書け書け」
「うー…」
「よしよし頑張れ」
兄ちゃんはよく頭を撫でて励ましてくれる。
自分も忙しいのに私についていてくれる兄には、本当に感謝している。
私なりに頑張っているつもりなんだけど…。
でも…、古文は嫌いだなあ。
「……ああ駄目だ、もう寝る」
深夜2時。
兄がお茶を取りにいっている間に私は力つきた。
古文単語はまあまあ覚えられたような。
*
「遥ー、お茶。…て、寝てるし」
俺が居間に戻ると、妹はいつのまにか机に突っ伏していた。
「ああ、もうこんな時間だったか。」
時計を見てだいぶ時間が経っていたことに気づいた。
そういえば、たまに頭がこくこくしてたか。
ちょっと頑張らさせすぎたかもな…。
近くにあったブランケットを遥に掛けてやる。
何も考えてなさそうな寝顔に俺の頬は緩む。
「こういうところ、放っとけないよな。」
起こさない程度に軽く頭を撫で、思わず抱きしめそうになった自分を抑えた。
「何やってんだ俺」
―俺は兄貴なんだ。
そうなんども言い聞かせてきただろ