↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

かまいたち

作者: ふわふわ
掲載日:2026/10/04

「大気摩擦過熱式生体切削サービス」へようこそ! 現代社会を裏で支える「かまいたち三兄弟」の、過酷でちょっとバカバカしいお仕事コメディをお楽しみください。

気象庁の過密ダイヤを嘲笑うかのように、時速八百キロの風の刃が男の襟元をかすめた。

「はい切れたー! 浅い、浅いよお兄さん! 皮膚一枚残ってるからね!」

ビル風が吹き荒れる都市の屋上で、かまいたち三兄弟の次男・カマイタチ・B(仮名)が、最新式のレーザー風切り刃を研ぎ直しながら毒づいた。

かつて妖怪と呼ばれた彼らは、現在「大気摩擦過熱式生体切削サービス」の契約社員として公務をこなしている。仕事内容は至ってシンプル。

一番男が突風で人間を転倒させる。

二番男が目にも留まらぬ刃で皮膚を切り裂く。

三番男が即座に万能軟膏を塗り、出血と痛みをゼロにする。

「兄貴、最近の人間さあ、ダウンジャケット分厚すぎない? 風圧計算が追いつかないんだけど」

長男がため息をつきながら、背中のジェット噴射口を調整する。「文句を言うな。先月はナノスーツ着たサラリーマンに刃が刺さらなくて、本社から給与カットを言い渡されたんだぞ」

そこへ、末っ子の三男が息を切らしてフライングボードで滑り込んできた。「兄貴たち、大変だ! 次のターゲット、全身をナノ粒子バリアで固めたサイボーグ政治家だって! 硬度ダイヤモンド級!」

「なにっ!?」

「しかも、厚生労働省からの指定で『擦り傷一つ作らず、かつ切られたと誤認させて恐怖心だけを与えろ』っていう無茶振りミッションだ!」

三兄弟は顔を見合わせた。物理的な切断が不可能な相手を、どうやって「切られた気分」にさせるのか。

「……やるしかないな」長男が腹をくくった。「伝統のフォーメーション・Z(ゼット)だ」

五分後。交差点を歩く厳密なサイボーグ政治家の元に、超音速の風が襲いかかった。

まず長男が極大の旋風を巻き起こし、政治家の体勢を崩す。

次に二番男が、超高振動の音波ナイフで政治家の「着ているスーツの繊維だけ」を分子レベルでカット。

そして三番男が、即座に「超強力冷却スプレー」を肌に吹き付けた。

政治家は足をとられ、胸元がパカッと割れ、激痛に似た冷気が走った瞬間、その場に崩れ落ちた。

「ひぃっ! 切られた! 痛くはないが、間違いなく私のかっこいいスーツが切られたぁぁ!」

屋上からその様子を見下ろし、三兄弟はハイタッチを交わした。

「よし、完璧だ!」

その時、三男の端末がピリリと鳴った。本部からの通知だ。

『緊急連絡。ターゲットのスーツは一着千万円の限定品でした。損害賠償請求が届いております。三名の来月の給与から全額相殺します』

静まり返る屋上。二番男がぽつりと呟いた。

「ねえ兄貴……来月から、かまいたちじゃなくて『ただの冷風機』のアルバイトに転職しない?」



ここまでお読みいただきありがとうございます!

かまいたちの伝説を現代風にアップデートしてみたら、なぜか過酷なブラック労働コメディになってしまいました。1着1000万円のスーツを弁償させられる三兄弟の明日はどっちだ……!

少しでもクスッとしていただけたなら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。