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真っ白なページに綴る、僕の青春  作者: Minateru


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第二十頁 ― 限界(一)

カリ…カリ…

朝の陽射しが机に優しく差し込み

まだ真っ白な紙のページを照らし……

……

背筋を伸ばした人影たちが座り

視線は黒板から離れず

黒いインクのペンが手に握られ……

……

カリ…カリ…

薄いチョークの粉が空気中に舞い

俺の手が止まらず動き

黒板に白い線を紡ぎ続ける

視線が何度もちらりと確認する……

………

コト…

チョークがトレイにそっと置かれる

……

「みんな、ここを見てくれ……」俺の手が黒板を指す

「具体的な解法がない問題にぶつかったら……」

「焦らず、すでに知ってる数値から始め、そこから未知の部分へ……」

「最後には問題の答えに辿り着ける。」

……

「質問ある?」俺は軽く微笑んで周りを見る

……

ひょい…

「俺!」レンがすぐに手を挙げる

「じゃあ文字だらけの問題はどうすんだよ……」

「たとえば赤いビー玉、黄色いビー玉、青いビー玉とか……」

「んでその三つの間の答えを求めろって言われたら?」

……

「それは簡単だよ……」俺は黒板を指す

「名前を変えて呼べばいいだけ!」

「xとかyを探す問題と同じだよ……」

「それぞれの種類を短い文字で表せば、見やすくなって解きやすくなる。」

……

ぽり…ぽり…

「なんか難しく聞こえるな?」レンが頭をかき続ける

「もう書いてくれよ!」

……

「いいよ!」俺は軽く頷く

……

そっと…

「ちょっと待って!」イヤホンの女子が手を挙げる

「もう書いてるならついでに……」

「関数グラフの読み方、正しく教えてよ!」

「それさえ読めれば計算なしで解けるって聞いたよ。」

……

「いいよ……」俺は彼女の方に手を差し出す

「ちょっと待ってて。」

……

ひょい…

「待って待って!」ツメコさんが手を振り続ける

「私も!」

……

「ついでに極値のところも書いて!」ツメコさんが笑顔を浮かべる

「あそこ、数日間ずっとわかんなくて!」

……

「ちょっと待って……」俺は軽く目を細める

……

ざわざわ…ざわざわ…

教室中に声が広がり始め……

手が次々と上がる

同じ言葉が繰り返される……

……

「ちょっと待って……」

「ここまだわからない……」

「もう一回説明して……」

「ここ教えて……」

……

と…と…

白川さんが席から立ち上がる

ゆっくり教壇に向かって歩く……

……

すっ…

「…………」白川さんがそっとチョークを拾う

……

「白川さん、君はやらなくていいよ……」俺は手を振り、首を振る

……

「みんなにわかるように教えてやってくれ!」白川さんが俺を指す

「黒板に書くのは俺がやるよ!」

……

「わかった……」俺は軽く頷いてクラス全体を見る

……

サラ…サラ…

チョークが再び動き

文字が交互に現れる

俺たち二人の視線は、もうクラスだけに向けられている

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

「リーン♪」

陽射しが今、一人ひとりにまっすぐ差し込み

俺たちの頰に汗の跡が伝う

視線が周りを追う……

……

こつ…こつ…

教科書が次々と閉じられる

人影が出口に向かう……

……

コト…

机の横にオレンジジュースの箱が置かれる

……

「お疲れ!」白川さんが軽く微笑む

「…………」白川さんの手がジュースを俺の方に押しやる

……

「俺はもらってないよ!」俺は軽く押し返す

「どうせ一緒に黒板書いてくれたんだから!」

……

「そんなに遠慮すんなよ!」白川さんが笑う

「十神さんがOKしてくれなかったら、今のクラスはこうなってなかったよ。」

……

「それとも……」白川さんが顎に手を当てる

「この味、嫌い?」

……

「違うよ!」俺は首を激しく振る

「ただ俺は……」

……

たたっ…たたっ…

「なあハル!」レンが俺に近づく

「食堂行かね?」

「今日、新しいケーキ出たって!」

「今日だけ販売だってよ!」

……

「あ、ダメだ……」俺は振り返る

「ツメコさんと練習の約束あるんだ!」

……

「へええ……」レンが目を細める

……

「ちょっとだけでもいいだろ、十神さん!」白川さんが目を丸くする

「どうせそのケーキ、今日だけだし……」

「山崎さんとは毎日練習してるだろ……」

……

「怒られたら……」白川さんが手を組む

「いくつか買ってあげれば済むよ!」

……

「でも……」俺は肩を落とす

「…………」白川さんとレンが顔を近づけて俺を見る

……

はぁ…

「わかったよ……」俺は体を低くする

「行けばいいんだろ……」

……

にっ…

レンの目が輝き、白川さんを見る

二人の手が同時に親指を立てる

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

がやがや…がやがや…

人で溢れた部屋の中

ケーキカウンター前の長い列

みんなガラスケースに視線を注ぎ

果物の花が乗ったケーキを見つめる……

……

「間に合ってよかった!」レンが額に手を当てる

「もう少し遅れたら売り切れだったぞ!」

……

「このペースだと……」白川さんが長い列を見上げる

「結構かかりそうだな!」

……

「十神さん……」白川さんが俺を見る

「山崎さんの分も一緒に買っちゃった方がいいかも。」

……

「…………」俺は微笑んで目を細める

………

とっ…

後ろから足音が響く

女子たちの人影が近づく

声が響く……

……

「どけよ、F組のクズども!」腰に手を当てた女子

「お前らに順番なんてねえよ!」

……

「何だよその言い方?」レンが振り返る

「明らかに俺たちが先だろ?」

「なんでどかなきゃいけないんだよ?」

……

「知らないの? それともとぼけてんの?」女子が周りを見回す

「この学校じゃ、実力のある奴だけが……」

「本当に大事なんだよ……

「……一番綺麗なものを貰う資格があるんだよ!」

……

「お前らみたいなのは……」女子が目を細めて俺たちを見る

「価値なんてほとんどない」

「食おうが買おうが、ただの無駄金だよ。」

……

「ちょっと落ち着いてくれ……」白川さんが手を前に出す

「ゆっくり話せばいいだろ。」

「そんな言葉遣いしなくても……」

……

「何?」女子が口元を歪める

「実力で勝てないから言葉で返すのか?」

「ほんと劣等種だな!」

……

あははは!

女子たちが顔を見合わせて笑う

俺たちを振り返って笑う……

……

ぎゅっ!

「行こうぜ……」白川さんが手を強く握る

「今日じゃなくてもまた来ればいいよ!」

……

「じゃあすぐ教えてくれよ!」俺は軽く手を女子たちに向ける

「H2NO3の価数平衡の公式と、この物質の全反応。」

……

「急に何だよ?」女子が目を細める

「小学生でも知ってるようなことじゃん。」

……

「じゃあニュートンの物理法則は?」俺は首を傾げる

「全部詳しく言ってみて。」

……

「理論だけじゃ何も言えねえよ!」女子が口を歪める

「どうせ理論なんて現実じゃ使えねえし!」

……

「じゃあ英語の13時制と、IF構文の全部……」俺は目を細める

「あと……外国人に会った時に言っちゃダメなこと。」

……

「何だよそれ?」女子が高く頭を上げる

「お前、それだけでイキってんのか?」

「言ってやるよ、入学試験で……」

……

「俺、10科目合計で820点取ったんだよ……」女子が胸を叩く

「お前は?」

「せいぜい600点ギリギリ合格だろ」

……

「990……」俺は小さく唇を動かし、胸の数字を指す

「俺の合計点は990だよ……」

「試してみる?」

……

「ふざけんな! そんなわけねえだろ!」女子が強く手を振る

「F組の奴がそんな点取れるわけねえ!」

……

くい…

「ちょっと……」別の女子が袖を引いてスマホを出す

「マジだよ……」

……

「そんな……」女子たちが顔を見合わせる

……

……

「行くぞ!」女子たちが後退する

「どうせあんなケーキ、有害物質ばっかだし!」

……………………………………………………

がしっ!

「ハル!」レンが俺の首に手を回す

「普段はおとなしいくせに、意外とやるじゃん!」

「まさかあんなことするなんて!」

……

「そんなことしなくてもよかっただろ!」白川さんが俺の耳に手を当てる

「どうせ大したことじゃなかったよ!」

「それに、お前も得なんてないだろ!」

……

「違うんだ……」俺は軽く首を振る

「ただ……俺は……このことだけは……」

……

ポン!

「急に何だよ!」レンが俺の背中を叩く

「終わったことは終わったことにしろよ!」

「今大事なのはケーキだろ!」

……

「そうだな!」白川さんが頷く

「終わったことは終わったことにしよう。」

……

「でもマジすげえよ!」白川さんが顎に手を当て、目を細めて俺を見る

「10科目で990点……そんな簡単に取れるもんじゃないよ……」

…………

周囲の行き交う人々の中で

友達たちの笑顔に囲まれ

他愛もない会話が流れていく……

……

うっ…

突然、頭に鋭い痛みが走る

一瞬で頭全体に広がる……

……

「…………」俺は片手で頭を押さえ、軽く体を曲げる

……

「ハル、大丈夫か?」レンが首を傾げる

……

「大丈夫……ただ……」俺は目を細めてレンを見る

「ちょっと……腹減っただけ……」

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