第二章の朝、彼と初めて会った
…
朝陽がオレンジの髪一本一本に差し込み
僕らの間をそよ風が通り抜ける
…
「え?」目の前の光景に俺は固まる
一人の男が、俺の目の前で深々と頭を下げている
…
「俺に…勉強教えてほしいって?」指で自分を指す
「そう!俺…勉強が…いや違う…」オレンジ髪が顔を上げて首を振る
「教えてくれ!」
「でも…なんで…」
「俺そんなに教え方上手くないよ…」
「違うんだよ!お前みたいな…」
…
「リーン♪」
学校のチャイムが突然鳴り響く…
タッタッタッ…タッタッタッ…
生徒たちが一斉に教室へ駆け出す
…
「やばい、授業始まる!」オレンジ髪が教室の方を向いて歩き出す
「とりあえず考えててくれよ!」
…
トントン…トントン…
「返事待ってるからな!」急に振り返って手を振る
…
俺はそこにしばらく呆然と立ち尽くす…
「やばい、俺も教室戻らなきゃ!」慌てて自分の席へ走る
………………………………………………………………………………………………………………
ぺちゃくちゃ…ワイワイ…くすくす…
…
ギィー
「はぁ…また一日か…」教室のドアが開く
先生が目をこすりながら、ゆっくり教卓へ
…
「よし、クラス!」
「今日は3つの大事なお知らせがある!」
…
ペタッ!
「まず、黒板見てくれ…」葉山先生がでかい紙を貼る
クラスの視線が一斉に集まる
…
トンッ!
「これが来週からの時間割だ!」葉山先生が黒板を叩く
教室に重い霧のような空気が広がる
…
ドンッ!
「何この鬼畜スケジュール!」金髪女子が椅子から跳ね起きる
「何考えてんの!こんなの無理でしょ!」弾丸のような目で黒板を睨む
…
「先生!」メガネ女子が手を上げる
「何か用か?」葉山先生が視線を向ける
「これイタズラじゃないですよね?」
「こんな時間割、誰だって無理ですよ…」
…
「違う!」葉山先生が口角を上げる
「これが来週からの正式な時間割だ!」
「冗談じゃない!」
…
アワワ…ワーッ!…ヒャーッ!…
クラス全員が一斉に立ち上がる
…
「ふざけんなよ!」オレンジ髪が頭をかきむしって机に突っ伏す
「これじゃ部活どころじゃない!」
「数学…国語…生物…歴史…」ツインテールの女子が呆然と呟く
「嘘でしょ…体育の後で…事務情報…」
…
ぷるぷる…ぷるぷる…
「現実じゃない…現実じゃない…」隣の小柄な子が真っ白な目で震える
「やはり教師の陰謀か…私をいたぶる気か…」隣の子が机に突っ伏して手を噛む
…
「化学…物理…」
ドサッ!
後ろの銀髪男子が後ろに倒れる
…
ふふふ…ふふふ…
「美術の後に…法学…」ドア近くの黒髪女子が肩を震わせる
…………………………
バンッ!
「俺マジで担当変えてもらいたい…」葉山先生が唇を噛んで机を叩き、頭を下げる
…
「クラス静かにしろ!」
ざわめきが一瞬で止まる
…
「よく聞け」
「ここは全国トップの学校だ」
「ここから出て成功した人間がどれだけいるか…偶然じゃない」
…
「だから…」葉山先生が顔を上げる
「耐えられない奴は…今すぐ転校しろ!」
…
ぎゅーっ!
生徒たちの視線が葉山先生に集中…
音一つしない…拳を握りしめて
…
葉山先生が教室を見回す…
「次、二番目のお知らせ…」視線が壁の時間割へ
…
「この時間割のせいで…うちの学校は他より早く始まる」
「具体的にはここに書いてある通り…週6日、朝から夕方まで」
「始業時間は…朝7時だ」
…
「異論はないな?」葉山先生が振り返って口角を上げる
…
…
パチッ!
「よし!」
「今度は大事な三番目だ…」
…
「リーン♪」
チャイムがまた鳴る…
…
「もう時間かよ?」葉山先生が腕時計を見て頭をかく
「じゃあ簡単に言うぞ!」
…
「よく聞け!」
「これから各クラスでこの学校の伝統行事を行う」
「自分の教室を掃除しろ!」
そして葉山先生がドアへ向かう
…
ギィー
「あ、そうだ」振り返る
「明日この教室がまだ埃っぽかったら…」
「クラス全員で学校中を掃除な!」
…
「それと十神さん…」俺の方を見る
「はい!」跳ね起きて固まる
「来週の初めにはあの宿題終わらせておけ、わかったな?」
「はい!」
…
ギィー
ドアが閉まり、先生が去る
………………………………………………………………………………………………………………
キュッ!
俺は拳を握りしめる
「よし…これが俺のチャンスだ…」周りのクラスメイトを見る
…………
「ねえ、カラオケ行かない?」女子たちが集まる
「楽しそう!」
…
「お前ら!購買行こうぜ!」男子たちがドアへ殺到
…
「部活!部活!」別のグループが散っていく
……………
気づいたら俺の席以外誰も残ってない
……
教室をじっと見つめ…視線が窓へ
…
クイッ、スッ!
袖をまくり、立ち上がり、用具棚を見る…
「よし、やるぞ!」
………………………………………………………………………………………………………………
夏の真昼の眩しい光が窓から差し込む…
賑やかな声も遠ざかり…廊下の足音も止む…
長い影が校門へ向かう…
…
そして広ーい教室に…俺一人…掃除を続ける
………
タタタタッ…タタタタッ…
足音が…この部屋に近づいてくる…
…
ギィー
「危うく忘れ物するとこだった!」オレンジの頭が現れる
「よし…どこだ…」キョロキョロ探す
…
え!?
「お前まだいるのか?」オレンジ髪が俺を指差して固まる
「今日掃除当番だから…」俺は箒を握りしめる
「そういう意味じゃない…なんでお前…みんな帰ったのに残ってんだよ?」目を丸くして手を振る
…
「なんでそんなことしなきゃいけないんだ?」俺は笑って返す
「今帰ったら…明日10倍になるぞ…」
…
「だから今ちょっと我慢すりゃ…いいだろ!」ニカッと笑う
………
トトトッ…トトトッ…
別の足音が部屋に近づく…
……...
「お前マジわかんねえな…箒よこせ、俺も手伝うよ!」オレンジ髪が頭をかく
「でも俺…もう終わりそうなんだけど…」
「いいからよこせ!どうせお前一人で全部やるんだろ!」箒を奪って背を向ける
…
「そういえば…」
俺の視線がオレンジ髪に…
「俺は蓮だ…小林蓮…これから…よろしくな…」箒を握りしめる
…
「俺もだ!俺は…」
「知ってるよ!春くん…だろ?」蓮が振り返る
「そう、小林さん。俺は…」
「蓮でいいよ…そんなかしこまんな…」目を逸らす
…
「じゃあお返しに…俺のことは…春だけでいい…いいかな?」
…
アハハハハハ!
蓮が天井を見上げて腰に手を当てる
「なんだそれ!それだけなら全然いいよ!」
「よろしくな、春!」笑顔で振り返る
「こちらこそ、蓮!」
…
「で、今何したらいい?」蓮が教室を見回す
「待てよ…お前こんなに片付いてるじゃん…もうやることねえよ!」
「それ俺が言おうとしてたんだけど…」苦笑い
………
トトトッ…トトトッ…
足音がさらに近づく…
……...
「じゃあこうしよう!最後のバケツの水捨ててきてくれ!」遠くの濁ったバケツを指す
「簡単!任せろ!」蓮が胸を叩く
…
「よし、1…2…3…」
「うわ重っ!」蓮が腰を曲げ、足元がふらつく…
…
バシャーン!
バケツが宙を舞い…濁った水滴が飛び散る…
そして俺の視線が…その先に…カバンが…
…
「危ない!」俺は飛びついてカバンを掴む
………………………
ギィー
ドアが開き、赤髪の長身女子が武道着姿で現れる
…
ポタ…ポタ…ポタ…ポタ…
背中に…水滴が…滴り落ちる…
髪はびしょ濡れ…でもカバンはしっかり抱きしめて…
…
振り返った瞬間…目がその女子と合う…
…
赤髪の女子が顔を伏せて…近づいてきて…カバンをひったくる
ダッ!!スタタタタッ——
そして…何も言わせず走り去る…
………………………………………………………………………………………………………………
【翌朝】
いつものように…俺のクラスは相変わらずうるさい…
…
ギィー
別の先生が入ってきて、手にEnglishの教科書
…
「こんにちは皆さん!」
「急で申し訳ないが、今からペアで英語のグループテストだ!」
…
無意識に蓮の方を見る…
でも…もう他の誰かと組んでる…
…
みんなすぐグループを作っていく
気づいたら…俺だけ取り残されてる…
…
「先生…」手を挙げる
「どうした?」優しい目が俺に
「俺…」
「わかった、まだペアがいないんだな?」教室を見回す
…
「あそこのお前!」遠くを指す
「まだ組んでないだろ?」
「こっち来てこの子とやれ!」俺を指す
…
振り返ると…目が合う…
そして…赤髪の女子の顔が…真っ赤に…




