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真っ白なページに綴る、僕の青春  作者: Minateru


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第十二頁 ― 距離

そよ……そよ……

日陰に完全に覆われた階段の下で……

周りを軽く撫でる風と共に……

……

「約束通り来たよ!」私が弁当箱を天宮さんに向かって掲げる

……

「でも……でも……」天宮さんが周りを見回す

「私……思ってたのは……」

「私……そんな……」

……

と……と……

「ここに座ってもいい?」私が天宮さんのいる階段に近づく

「あ……うん……」天宮さんが私の視線を避ける

「いい……よ……」

……

すっと……

私が近くの階段に腰を下ろす……

天宮さんのすぐ隣に……

……

いつもと同じ距離なのに……

どうして……

……

「…………」天宮さんが何度も別の方向を見る

……

「ねえ、聞いてもいい……」私が天宮さんに向かって顔を向ける

……

ぷい……っと……

「…………」天宮さんが私に背を向け、絵を抱きしめる

……………………

ざわざわ……ざわざわ……

ぎらぎらした陽光の下で……

少し離れた建物の中で……

私たちの目の前に現れる……

人波が押し寄せる列……

店の中に殺到しようとする人たち……

手を伸ばして……

固く握ったお金と共に……

……

はあ……

「こんな時間でもあそこまだ混んでるのか……」私が肩を前に伸ばす

「暑いし日差しも強いのに、よく耐えられるね?」

……

「もしかして……」天宮さんがゆっくり私の方に顔を向ける

「今日は……何か……特別なものがあるのかも……?」

……

「確かに……」私が肩を下げ、体を伸ばす

「あのケーキのためだけに、みんな争って買いに行くなんて……」

「僕、すぐ終わると思ってたのに!」

……

「あれって……?」天宮さんが首を傾げて私を見る

「さっき見たでしょ?」私が目を細めて天宮さんを見る

「蓮に引っ張られて一緒に降りたんだよ」

……

「つまり……」天宮さんが膝に頰を寄せる

「僕、ただ手伝っただけだよ……」私が口を開け、頭を下げる

「まさかあんな人混みに飛び込むことになるなんて!」

……

ぎゅ……

「決めた!」私が体を起こし、拳を握る

「もう二度とあそこには行かない!」

「次に蓮がどんなに頼んでも!」

……

くすっ……

「確かに……」天宮さんが私を見て微笑む

「あそこ……うるさいよね……」

………

「でも……」私が天宮さんを見る

「どうして君、ここでお昼食べるの?」

……

そっ……

「ただ……」天宮さんが人混みを指す

「私、見たくて……」

……

すっ……

「それに……」天宮さんがスケッチブックを手に取る

「私……描きたくて……あの景色を……」

……

「でも……」私が顔を別の方向に向ける

遠くの日陰の隅に……

絵が置かれている場所に……

椅子が並べられ……

食堂の方を見つめる人たちの影と共に……

……

「あそこならもっと良い場所があるよ……」私が木々の列を指す

「どうしてあそこに行って描かないの?」

……

「だって……」天宮さんの視線が絵に向く

「私……人の視線が……嫌で……」

…………

「危うく忘れるところだった」私が天宮さんを見る

「今朝の授業、ついていけた?」

「先生、結構速かったよね」

……

は……

「いや……」天宮さんが慌てて手を振る

「私……ついていけたよ……」

……

きゅ……

「でも……」天宮さんがスケッチブックを抱き、軽く私を見る

「どうして……そんなこと聞くの……?」

……

「だって、君が頼んだじゃない?」私が首を傾げて天宮さんを見る

「…………」天宮さんが軽く私の方に顔を向ける

……

「君……迷惑……じゃない……? 私が……頼むの……」天宮さんが小さく唇を動かす

「全然!」私が天宮さんに向かって微笑む

「君に教えるついでに、僕も復習になるし!」

……

天宮さんの唇に小さな笑みが広がる……

目を大きく開けて私を見つめる……

……

「じゃあ……後で……」天宮さんが背を伸ばして私を見る

「お願いしても……いい……?」

「いくつか……まだわからないところがあるの……」

……

「もちろん!」私が頷く

……………………………………………….

さっと!

「じゃあ早く食べよう!」私が弁当箱に手を伸ばす

「早く終わらせて、ゆっくり休もう!」

……

とん……

「確かに……」天宮さんがそっとスケッチブックを置き、弁当箱に手を伸ばす

……

私の視線が凍りつく……

スケッチブックに、一枚の絵が現れる……

黒い手があちこちに伸びる……

隅で頭を抱える影……

そしてその間に、まっすぐ立って挡む一人の影……

……

「あれ……」私がスケッチブックを指す

……

もぐ……もぐ……

「…………」天宮さんが私を振り返り、軽く箸を口から離す

……

「見せてもらえる……?」

「今描いてる絵」

……

からん……

天宮さんの手から箸が落ちる……

……

ごそ……ごそ……

天宮さんの手が絵に伸びる……

目を閉じて、私に背を向ける……

……

ぱっ……

天宮さんの手からの弁当箱……

今、階段を転がり落ちる……

残していくのは……

……

とん……とん……

あちこちに散らばるご飯……

そして逆さまに落ちた弁当箱……

……

私の目が大きく見開き、手が前に伸びる……

天宮さんが軽く目を細め、弁当箱の方を振り返る……

私たちの視線が弁当箱から離れない……

………

私の視線が自分の弁当箱に向く……

私の手が、誰にも言われず動き出す……

……

とん……

私が弁当箱を、二人の座る場所の真ん中にそっと置く……

まだ箸をつけていない半分と共に……

……

「ごめん……」私が小さく唇を動かす

……

すっ……

「…………」天宮さんの視線がこっそり私に向く

天宮さんの手が、弁当の半分を軽く私の方に押し返す……

……

ぐぅ……

空間に響く音と共に……

天宮さんの顔が軽く赤らむ……

体を絵に近づける……

……

すっ……

私が弁当箱を天宮さんの方に軽く押し返す……

…………

ずか……ずか……

廊下に響く足音……

遠くから一人の影が現れる……

青い服と、手に持った道具と共に……

……

「誰だここで散らかしたのは!」女性が手に持った道具を固く握る

……

「毎日毎日、散らかすことしか能がない!」女性が目を細める

……

「ここを片付けるのがどれだけ大変かわかってるのか?」女性の顔がこちらに向く

……

すっと……

天宮さんがそっと階段から体を起こす……

目を閉じて……

スケッチブックを抱きしめ……

……

ぱっ!

「すみません!」私が女性の方に歩み寄る

「僕が不注意でこうなっちゃったんです!」

……

「僕が自分で片付けます!」私が女性の前で頭を下げる

……

すっ!

「持て!」女性が箒を私に向ける

「しっかり片付けろよ!」

「はい!」私が頷く

……….

しゃっ……しゃ……

私の手が箒を握る……

床に散らばる一粒一粒のご飯を軽く掃く……

……

ぱく……ぱく……

階段の方から響く音……

小さな笑みが私の方を見る……

……

「なるほど……」私が小さく唇を動かす

……

今、私が座る場所に……

空になった弁当箱……

そして天宮さんの背中は、もう去っていった……

……

ぱく!

「僕も急がないとかな?」私が弁当箱の蓋を閉める

………………………………………………………………………………………………………………

午後の陽光がまだ道を照らし……

暑さがあちこちに広がる中……

……

私たちは今、馴染みの教室を離れ

コンピューターが並ぶ部屋へ

冷たい空気が全体を包み込む……

……

「これが生きてるって感じだよ!」蓮が椅子に体を預ける

……

ふぁ……

「何かあったら……起こしてね……」津女子さんが机に顔を伏せる

……

「よしみんな!」先生が強く両手を叩く

「今日はExcelを実務計算に活用する方法を学ぶよ」

……

「まずは自分で4人組のグループを作って!」先生が周りを見回す

「それから授業を始めるよ」

……

「私たちはこのままでいいよ!」蓮が背を伸ばす

「同……意……」津女子さんが軽く手を上げる

……

「ハルはどう?」蓮が私を見る

「僕……別に問題ないよ……」私が軽く頷く

「じゃあ決定!」蓮が微笑む

……

「でも、まだ一人足りないよ」私が周りを見る

「適当にグループができてない子を引っ張ればいいよ!」蓮が微笑み、周りを見る

……

わい……わい……

「一緒にグループになろう!」クラスの中で一つの手が上がる

「こっちまだ一人足りないよ!」一人の男子が口に手を当てる

……

クラス中の人たちがあちこちを見る……

すぐに椅子を引っ張って互いに近づく……

でも一人の影……

まだクラスの真ん中で一人で立っている……

……

「あら!」先生がクラスの真ん中の影に近づく

「どうしてまだグループに入ってないの?」

……

「はい……それは……私……」天宮さんが体を縮め、両手を組む

……

「変ね?」先生が周りを見る

「このクラスの人数なら……」

「誰も余るはずないのに?」

……

「ほら、あのグループまだ一人足りないわよ?」先生があるグループを指す

「はい……」天宮さんが軽く顔を上げる

……

「どうしてあのグループに入らないの?」先生が私たちのグループを指す

「みんなが呼んでるじゃない?」

……

天宮さんの目が大きく見開く……

肩が徐々に緩む……

手を振っている方向に視線を向け……

そして私の、まっすぐ見つめる視線に……



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