十頁目――それでも進む
窓の隙間を縫って差し込む朝の光の下で
夜露がようやく消えていく頃に
……
生徒で溢れる教室
すべての視線が教壇に向けられ
そしてその中で、一人の影が立ち上がる……
……
ドン!
「ここに座ってるほとんどの子はまだ戸惑ってるだろう」葉山先生が両手を机に置く
「だから今、簡単に説明するよ……」
……
「昨日の午後」葉山先生がクラスを見回す
「この学校で不適切な行為が発生した」
「残念ながら、うちのクラスの生徒が直接関わっている」
……
「十神ハル」葉山先生が私をまっすぐ見る
「説明してもらえるかな?」
「なぜ昨日、暴力を振るったんだ?」
……
「はい……僕……」僕 の視線が凍りつき、体が動かない
……
「全部あいつのせいです!」部長が私の方に体を傾ける
「あいつが全部引き起こしたんです!」
……
ダン!
「落ち着け!」葉山先生が部長を見て、机を叩く
「この件は学校が受け取って処理する」
「ここは市場じゃない、好き勝手やる場所じゃない」葉山先生が目を細める
「申し訳ありません」部長が体を引く
……
「よし、君に戻るよ」葉山先生が私の方を振り返る
「この学校で暴力を使うとどんな結果になるか、君はよくわかってるはずだが……」
……
「だから今、はっきり話してくれ」葉山先生が両手を組む
「その日に何が起こったのか?」
「誰がそこにいて、君たち二人の間にどんな対立があったのか」
……
ギュウ…
「はい先生……」私が顔を上げ、拳を固く握る
「昨日、僕が自分を抑えきれず、つい……」
……
「じゃあなぜそんなに興奮したんだ?」葉山先生が私をまっすぐ見る
「それは……」私が周りを見る
「この部長が天宮さんの絵をめちゃくちゃに破ったからです」
……
「つまり昨日、天宮もそこにいたのか?」葉山先生が天宮さんを見る
「はい……そうです……」天宮さんが軽く頷く
……
「君に戻るよ、学校美術部の部長」葉山先生が部長を見る
「なぜ他人の絵を破ったんだ?」
……
「ここに誤解があると思います」部長が胸に手を当てる
「僕が伝えようとしたのはすべて芸術のためです」
……
「天宮さんは自分の才能を魂のない絵に無駄にしている」
「だからこそ、芸術の先駆者として」部長が私を睨む
「彼女を正しい場所に戻す必要があったんです」
……
ギリッ…
「でもこの無礼な生徒が……」部長が私を指す
「事情をよく知りもしないのに僕を攻撃した」
「それから天宮さんを空っぽの約束で誘惑した」
「このままじゃ彼女の才能はどう発展するんですか?」
……
バン!!
「お前こそ何がわかって言ってるんだ!」私が机を叩く
「お前は自分の知識を使って彼女を自分の思い通りにしようとしてる」
「それが発展だっていうのか?」
……
「じゃあお前は自分が何やってるかわかってるのか?」部長が私の方に体を向ける
「お前がやってることが正しいと思うのか?」
「他人の将来を考えたことあるのか?」
……
ドガン!
「全部やめろ!」葉山先生が机を叩き、周りを見る
「ここがどこだと思ってるんだ?」
……
教室が急に静まり返る
すべての生徒が凍りついたように固まる
目を見開いて葉山先生を見つめる
……
「つまり僕の理解が正しければ……」葉山先生が天宮さんに向かって手を差し伸べる
「天宮がこの事件の原因だということだな?」
……
ズズッ…
「はい……私……私……」天宮さんがゆっくり立ち上がり、両手を固く握る
「私……ない……ある……私……」
……
「さあ天宮さん……」部長が口角を上げ、顎を上げ、天宮さんに手を差し伸べる
「怖がることなんてない、言うべきことを言えばいい」
……
「…………」天宮さんが軽く頷き、私の方を盗み見る
「はい……それは……十神さんが悪いんです……」
…………
ガンッ!
「…………」私の体が凍りつき、視線が天宮さんに向く
「言った通りでしょう先生!」部長が胸を叩き、葉山先生を見る
……
はぁー…
「わかったよ」葉山先生が立ち上がる
「この場合、学校規定により……」
「直接傷害を与えた者は2ヶ月の停学……」私の目が大きく見開き、葉山先生を見る
「被害者は公の謝罪と傷害に対する補償を受ける」部長が口角を上げる
……
「そして意図的に状況を作り出した者……」天宮さんが目を丸くする
「……は1年間の停学だ」葉山先生が目を細める
……
ドサッ!
パラパラ…
教科書が次々と机に落ちる……
テープで貼られた絵があちこちに散らばる……
……
「どうして……どうしてそんな……」天宮さんが後ずさり、手が震える
「でも……でも……」
「私……私……言うこと聞いたのに……」
……
ザッ!
「きっと誤解があるはずです、葉山先生?」部長が葉山先生を見る
「なぜ天宮さんがあいつより重い罰を受けるんですか?」部長が私を指す
……
「これがうちの学校のルールだからだ」葉山先生が部長を見る
「天宮がいなければ、君たち二人は対立しなかった」
「だから根元を除去する必要がある!」
……
「それとも、学校のルールを忘れたか?」葉山先生が目を細める
「申し訳ありません……」部長が後ずさる
……
「それから君たち二人、まだ何を待ってる?」葉山先生が私たちを見る
「さっさと処分を受け入れてここから出ていけ!」
「みんなの授業時間が全部無駄になってるぞ!」
………
ひくっ…
天宮さんの両手が震え、頭を深く下げる
ゆっくりと落ちた物に手を伸ばし、
紙に涙の跡がぽつりと残る
……
ト……ト……
「失礼……します……」天宮さんがゆっくり席を離れる
………
「待ってください!」私が手を挙げる
「まだ何か言いたいことでもあるのか?」葉山先生が私を見る
……
ドン!
「全部僕がやったことです……」私が胸に手を当てる
「僕がこの部長に手を出したんです!」
「僕が天宮さんのことに勝手に介入したんです!」
「全部僕が引き起こしたんです!」
……
「つまり君の意味は……」葉山先生が私を見る
「すべてを起こしたのが君で……」
「傷害も君が与えた……」
「この二つが重なれば、退学になるって知ってるか?」
……
「僕……」僕が後ずさり、周りを見る
「よく考えてみろ、十神さん」
……
私の視線が教室をぐるぐる回る
私に向けられる視線たち
蓮が必死に首を振る
津女子さんが何度も首を横に振る……
部長が顎を上げて口角を上げる……
そして天宮さんが、教室のドアのところで体を曲げて立ち止まる
……
「はい、全部僕がやりました!」私が頷き、拳を固く握る
「…………」天宮さんが私を振り返る
「学校の処分なら受けます」
「でも先生、一つだけお願いがあります……」
……
「何だ?」葉山先生が腰に手を当てて私を見る
「天宮さんに、自分が描きたいものを描かせてください!」私が部長を指す
……
「十神さん……どうして……」天宮さんが小さく唇を動かし、目を大きく見開く
「どうして……そんなことするの……」
「どうして……私を放っておいてくれないの……」
……
「馬鹿め、当然の報いだ……」部長が小さく唇を動かす
……
ふっ…
「それが全部か?」葉山先生が口角を上げて笑う
「はい!」私が頷く
「それなら……」葉山先生が机に手を置く
……
タッタッ……タッタッ……
「先生待ってください!」天宮さんが教卓に近づく
「十神さんは何も悪くないんです!」天宮さんの顔の周りに涙が飛び散る
「あの子は私を守ろうとしただけで、あんなことをしたんです!」
「どうか考え直してください!」天宮さんが頭を下げる
………
ギリギリ…
「この子……どうして台本通りに行かない……」部長が歯を食いしばり、後ずさる
…………
スッと!
「よし! 全部わかったよ!」葉山先生が立ち上がる
「学校評議会が決めた処分は変更されない」
……
「関係した二人の生徒は懲戒処分を受けない」葉山先生がクラスを見回す
「ただしこの事件を全部引き起こした生徒は、この学校から去れ!」
……
フハハ!
「当然の報いだ!」部長が目を細め、私を見て唇を動かす
「これで懲りろ!」
……
ギュッ…
私の両手が固く握られ、目を見開く
……
「何を言ってるんだ?」葉山先生が部長を見る
「退学になるのは君だ……」
……
「何……ですか……」部長が体を固くする
「すべてはもう決まっていたんだ!」葉山先生が携帯を部長の前に出す
「さっさと私の教室から出ていけ!」
……
サッ…
「でも……でも……でも……」部長が後ずさる
「君の時間は終わったよ、元部長」葉山先生が教室のドアを指す
……
「それから君たち二人……」葉山先生が私たちを見る
「この事件の詳細な報告書を私に提出しろ!」
「二度と繰り返さないという誓約書もな……」
「わかったな?」
……
「はい……」私たち二人が軽く頷く
……
ギィ……
教室のドアが徐々に閉まる
葉山先生と部長の背中が、徐々に遠ざかっていく
………………………………………………………………………………………………………………
クラス全体が徐々に体を緩め、視線が周りに移る
そして私たち二人は、自分の席に戻る……
……
ふーっ…
「助かったー!」私が椅子に体を伸ばす
「もう人生終わったかと思った……」口を小さく動かし、腕で目を覆う
……
クイッ…
「十神……さん……」天宮さんが私の服を軽く引く
「どうしたの、天宮さん?」私が天宮さんの方を向く
……
「さっきのことで……」天宮さんが両手を組む
「ご……ご……」
「ごめんなさい!」天宮さんが頭を下げる
「私のせいじゃなかったら、君は……」
……
にこっ…
「大丈夫だよ、天宮さん……」私が天宮さんに向かって微笑む
「もう全部終わったことだし……」
……
「でも……」天宮さんが私に手を伸ばす
「あの時、私嘘ついたんだ……」
「わざと君のせいにしたんだ……」
……
「大丈夫だって言っただろ……」私が天宮さんに向かって満面の笑みを浮かべる
「あの時君も自分を守ろうとしただけだよ……」
「僕だったら同じことするよ!」
「だからもう気にするな!」私が天宮さんの前で手を振る
……
きゅっ…
「君の手……」天宮さんが私の手をつかみ、目を大きく見開く
「別に何でもないよ……」私が手を引こうとする
「この擦り傷……この薄いテープの跡……この皮がめくれたところ……」天宮さんが私の手の傷をそっと触る
……
「ただ僕が不器用だっただけで、気にしないで……」私が微笑み、手を引こうとする
…………
すっ…
天宮さんがそっと私の手を取る……
テープと乾いた糊だらけの手を、自分の金色の髪に触れさせる
……
「ハルくん……」天宮さんが小さく唇を動かし、微笑む
「これから……よろしく……ね……」




