表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/23

エピソード5 代打顔合わせ

「雨宮君、午後からはトーワ商事さんだったね。急な事で悪いけど頼むよ。あと、先方の課長さんに会ったら今度のゴルフ、楽しみにしてたって伝えておいて」

 来月のイベントの最終打ち合わせに出る前、課長の三ノ宮から声を掛けられる。

「ハイ。行って参ります」

 外回りは基本少ないが、来月行われる出店イベントの担当者が、昨日骨折入院したために、急遽代打で打ち合わせる事になった。優秀なその同僚がほぼ準備は終えていたのと、元々当日は応援の予定だった上、最終確認と顔繋ぎが目的だから、気は楽だ。

 秋晴れのカラッとした日差しが瞳に痛いくらいだが、暑くも寒くもなく快適だ。こんな良い天気に久しぶりの外勤なんてついている。

 祐希の気分は上々だ。

 知らず笑顔を浮かべ歩くサラリーマンに、性別を問わずに振り向く通りすがりがいることにも気づかず、祐希は目的の会社に向かっていた。


 受付を通り面談スペースに通して貰う。

ネクタイが曲がっていないか気にしながらPCを準備して待っていると程なく担当が来た。

「遅くなりました。担当の南條と申します。

 ノックとドアを開ける音、快活な良く通る声が頭上から重なるようなスピード感で聞こえてくる。

 慌てて立ち上がり、ファイルや筒状にした模造紙を片手に持った、担当者と挨拶を交わそうとした。

 が、一瞬固まる。

 何故、あの人かここに?

「どうされました?雨宮さんですよね?」

 ハッとして名刺入れを取り出し、型通りの名刺交換する。祐希は上の空のまま席に着いた。

 ドキドキドキ。自分の心臓の音が聞こえるようだ。だが、仕事をせねば。昨夜の罪悪感があり顔を直視できないまま、仕事は意地でこなした。


 何とか代打に相応しい仕事を終えられ、ホッとした祐希に南條が満面の笑みを向けた。眩しい。

「では、今回で最終確認できましたので、当日の進行含めて今後何かあれば、ご連絡させて頂きます」

「はい。骨折された担当の方には気の毒ですが、私は雨宮さんとご一緒できて役得だと思っています。当日までお会いする機会が無いのが残念ですね」

 真面目な顔を取り繕う祐希に、ウインクでもしそうな魅力的な顔で、帰り際に冗談を言われ、逃げるように取り引き先を飛び出した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ