9話
「きょ、京助…おはよぉ…」
私は、赤くなった顔を手で隠し挨拶をする。
京助は、フッと微笑み、大きな手で、私の頭を撫でる。
「いちいち俺の名前呼ぶとき、照れるなよ。こっちが照れるっての」
京助は、私の手を掴んで、握る。
「恋人なんだから、当然だよな?」
私は、またさらに、赤くなって、
「うん」
と微笑んだ。
今日は、京助がいつも登校時に降りる駅で私と待ち合わせして、学校に向かった。
恋人になって初日はやっぱり照れる。
学校に着き、京助は、私の教室まで着いてきてくれた。
皆の目線は、私たちに向けられる。
ひそひそ話している女子が気にかかったが、気にしない事にした。
「ありがとう。京助」
私は、ニコッと笑い、手を振る。
京助も、笑顔で答える。
「じゃあな。今日も昼休み、あそこだからな!」
「うん!じゃあね」
私は、手を振り、自分の席へと向かった。
昴は、もう、来ているようだ。
昨日の事もあって、ちょっと気まずいと感じてしまう。
本当は、感謝しなければならない。
今、京助と付き合えてるのも、全て昴のおかげだ。
私は、ただ、ボーッと椅子に座っていたら。
人影が、私に向かってくるのが分かった。
「雪菜」
あ…。
「昴…」
私は、お礼を言わなければならないと思い、言おうと、椅子を立とうとする。
「良い。座ってな。俺が勝手に話に来ただけ。お礼とか良いから。てゆうか、お礼より、謝らなければならないんだけど。俺」
謝る?昴が…?私は疑問に思い、昴に聞く。
「何を謝るの?昴は、何も悪い事してないよ?」
「いや…あのさ。ほら、昨日、○○しちゃったじゃん?それ、あの、気持ちが高鳴ったってゆうか…。だから…。ごめん…」
「○○?」
私は、未だに何を言っているのかが分からない。私は聞き返す。
「だから、ほら、あの…○○だよ」
「何なのさ!○○って!」
昴は、カァッと顔が赤くなる。そして、息を吸った。
「だーかーら、キスだよ!!!!」
「!!!」
私は、ビクッとする。大きな声出しすぎ…!!!
教室にいた皆が、こっちを見つめる。
私は、バッと顔を伏せる。
そして、昴も、気づき、バッと背をかがめる。
私は、小声で、
「バカ!!何、大声で言ってんのよ」
「お前が理解しねーんだもん」
「しょうがないなぁ…。それで、キスの事は、もう良いから」
「え?まじでか?」
「うん。その代わりに、くっつけてもらっちゃったし」
「そっか…ごめんな。本当に。初キスだったんじゃね?」
「うっ…。そうだけど…。京助とのキスを初キスって事にする」
「えっもうキスしたのか?」
「ん、まあね。屋上でちょいとね」
私はニヤッと笑う。
「よかったじゃん」
「うん、全部、昴のおかげ。感謝してる」
「おう」
「あ、もうそろそろ、チャイムなるよ。早く、席につきなよ」
「はーい」
昴は、席につく。
それと同時に、学校にチャイムが鳴り響く。