3話
高校に入学して、1週間経った頃、私は私だけの、秘密の場所を見つけた。
そこは、中庭の大きな木の真下だ。
日当たりが、よく、温かい。
しかも、見つけられにくく、サボるのには、最適な場所だ。
ていうか、サボった事ないんだけどね。
私は、昼休み、また、ココで昼ごはんを食べた。
購買に売ってある『いちごクリームチョコメロンパン』
意味の分からないパンだが、意外とおいしい。
人気もないから、すぐ買えるんだよね。
購買っていつも、人だかりできるから買うのに、手間かかるけど、いちごクリームチョコメロンパンは、誰も手を出そうとしないため、すぐ買えるというわけだ。
「いちごクリームチョコメロンパン…」
私は、ふと思う。
「名前長くない?略せないかなー…」
最近の若者は、すぐに略したくなる。
私も、最近の人になっているようだ。
「んー…。チョコメロンパンは、あるからダメだしー…。そうだ!!」
「ストロベリーメロンパン!!いいじゃんいいじゃん」
私は、1人で、納得して、パンを黙々と食べた。
すると、中庭の池らへんから声が聞こえた。
『あのー…。実は…』
かわいらしい女の子の声が聞こえた。
そっと、覗き見してみると、そこには、男1人と女子3人。
男1人を目の前に、女子3人いて、さっきのかわいらしい声の子は、きっと真ん中の子。そして、その子の肩を持ちながら男をずっと見つめている左の女子。そして、また右の子も、堂々と、男を見つめている。
おおっ…!これは、告白現場!?
私は、ずっとその場面をそっと見る。
『あの…ね。私。アナタが好きです!!』
女の子は、体をもじもじさせながら、言う。
すると、沈黙が続く。
早く何か言えよ!男!
私は、心の中でそう言っていた。
そして私は、ずっとその男子を見つめる。するとある事に気づいた。
ん…?あれれ?あの男子…もしや…
昴!?
私は心を躍らせる。
これは、昴をいぢる良いネタではないか♪
私は一気にテンションが上がり、早く早くと、返事が待ち遠しくなる。
すると、昴が、手をズボンのポケットに突っ込み、頭をかきながら、
『ごめん。俺、好きな奴いる』
あぁ!?振っちゃったよ!あいつ!!
あんな可愛い子めったに巡り会えないよ!?
てゆうか、アイツ好きな奴いんの!?誰さー!
私は、心が、モヤモヤしはじめる。
『あの、昴君。好きな人って誰?』
おお!ナイスナイス!
言っちゃえ!昴!
昴は、息を吸って、呟く。
『駒田雪菜』
…。今誰って言った?え?駒田?雪菜?
私は、頭が混乱する。
嘘でしょ…?昴が私の事好きって?
私は、両手を顔に当てて、考える。
どうせなら、「由美」っていう名前を出してくれれば、スッキリしたかもしれない。
なんで?あたしなのさ…
私は、空を見上げる。
「聞かないほうが良かった…」
私は、そう呟いた。
『駒田雪菜って、3組の?』
『そう』
『あんな子のどこが良いの!?特別頭が良い事もないし、顔も、普通じゃない!』
『俺は、外見で、選ぶ趣味じゃないんでね』
女の子は、カァッと赤くなり、去っていく。
昴も、去っていき、中庭には、多分私だけしかいない。
「ばかぁっ…昴のばかばかばか!あたしは先輩が好きなんですぅー…」
私は、自分の太ももを叩き、呟く。
そういえば、先輩にあってないなー…
会えば、今の気持ちも晴れるかもしれない。
ちょっと、昴の言葉に心が揺れている私は嫌だ。
先輩が好きなのに…。おかしいよ。私。
消してよ…この気持ち…。