2話
「意外と、近いんだよね~。青木高校」
私は、校門を、潜り抜け、有名進学校の青木高校に入った。
校舎は、新しく、とても綺麗だ。
自然も豊富で、中庭には、池がある。
中庭が見えるカフェテリアのような、食堂は、とても、おいしいと聞いた。
私と、高校生活を共に過ごすには、もったいなすぎるくらいだ。
私は、昇降口に入り、掲示板に貼ってあるクラス名簿を見る。
1組…。じゃないね。
2組…。でもないなあ。
3組…。…。あったぁ!!
「3組だぁっ!」
私は、即座に、3組のある3階まで、階段を1段抜かしで上り、3組の教室に向かった。
廊下も綺麗だなあ、と感じながらゆっくり、3組への廊下を歩いていると、
後ろから、髪の毛を掴まれる。
「痛っ!!」
私は、すぐに、髪を掴んでいる手を追い払い、後ろを向くと、
また、背の高いアイツ。
「昴~!!痛いじゃない!てゆうか、1組か2組か知らないけど、どっちのクラスも右の方!」
昴は、フッと鼻で笑い、
「俺も、3組だから、こっち。」
「えぇぇ!?またぁ?もう、アンタとは、腐れ縁だわ」
私は、小学生の頃から、ずっと昴と同じクラス。小学3,4年の時は違うかったけど。
私は、3組の教室へと、再び足を踏み出した。すると、昴も同じタイミングで、踏み出す。
「ついて来ないでよ!!」
「俺も同じクラスなんだから、しょうがねぇだろ」
昴は、澄ました顔でそういう。
こいつの、こういう余裕たっぷりの態度が、ときたまムカツク。
「昴のくせにっ…」
私はボソッと呟くと、昴は、こっちを見て、
「ばーか」
んかぁっっ!!!ふざけんなぁ!
昴は、教室へと、入り、さっそく、女子が、騒ぎ出す。
私は、昴が教室に入って、数秒たってから、入った。
彼女だって間違えられたら、とんだもんじゃない。
私は、教室に入り、黒板に貼ってある席順に座り、バッグを置いた。
すると、後ろから、ポンポンと肩を叩かれる。
私は、後ろに振り向くと、そこには、女子がいた。
普通…の女の子。
背は、私と同じぐらいかな。
「こんにちわ!うち、笹川春子って言うんだ。よろしくね」
「あ、あたしは、駒田雪菜。よろしくね」
私は、ニコッと微笑む。
すると、笹川さんも、微笑み返す。
新しい…友達かな?
「あの…あたし駒田さんのこと、雪菜ちゃんって呼んで良い?」
「うん!!あたしも、春子ちゃんって呼んで良いかな?」
「いいよー!やったぁ…。あたし、同中の人がいなくて、心細かったんだぁ。友達が出来てよかった」
「あ、あたしもだよー!あ、1人だけ、同中の人がいるけどね」
「え?誰ー?」
「んーとね…そこの、男子。」
私は、昴を指差した。
春子ちゃんは、昴に視線を向ける。
すると、春子ちゃんは、バッと視線を戻す。
「うっそぉ…。雪菜ちゃん良いなー!!あの人すっごく目立ってるよね。かっこよすぎ~」
「そ、そお?あたしは、別にかっこいいとか…」
あ、そういえば、うち、朝、かっこいいとか言っちゃったんだよね…。
ああ、思い出すと恥ずかしいっ。
「雪菜ちゃん?どうしたの?」
「ん?あ、いやいや、別になんでもないよー」
「そう?」
春子ちゃんは、少し、咳払いをして、私と、顔を近づける。
「あのさ、雪菜ちゃん…。彼氏っている?」
私は、いきなりの質問に、ガタッと椅子を動かす。
「い、いるわけないじゃん!」
「そっかぁ…。」
「春子ちゃんは?」
「実はねぇ、いるんだー…」
春子ちゃんは、顔を赤くして、言う。
何か、高校生って感じの会話。
私は、ちょっと温かい気持ちになる。
「誰?同級生?」
「実はぁー…先輩なの。ココにいるって聞いて、入学したんだー」
「わぁ!すごいね!」
「頑張ったよー…ココってレベル高いじゃん?雪菜ちゃんは、どうしてココに?やっぱ進学のため?」
「ううん。あたしも、春子ちゃんみたいな感じ。ココの先輩で、好きな人がいて、追っかけてきた。」
「おお!!頑張って!!」
すると、教室の廊下側の窓から、春ーって言う声がした。
どうやら、春子ちゃんの彼氏のようだ。
「あ、あれ、彼氏。ちょっと行って来るね」
私は、桃色だなぁー…と思いながら、春子ちゃんと、彼氏が、仲良くしてる姿を見つめる。
いいなぁー…って思ったり。
「雪菜。」
「ん?あ、昴。何?」
「何もない」
昴は、春子ちゃんの席に座り、伏せる。
私は、昴の頭をツンツンして、
「ワックスつけてるんだね」
「ん。まあね」
そんな、会話をしていると、他の女子が、コソコソと喋り始める。
しまった!!仲良いところを見せては駄目だ!
初日から、女子に、あーたらこーたら言われるのは勘弁だ。
「昴!!あっち行ってよ」
「は?何で」
「初日から、女子に嫌われるのは嫌なの!!」
「はぁ?何が、そうなるんだよ」
「アンタを好きな人は、もっといるの!あたしといたら、付き合ってるって勘違いされるもん」
「関係ねー…」
ぐっ。。コイツ!!何もわかってないなぁ…。
「お願い!!あっち行って!」
「あー、うるせぇ。分かったよ。意味不な奴だよな」
私は、堪えて、お手洗いに行った。
ああー…先が思いやられるよ…。