14話
「10分前についちゃった。」
私は、駅の前にポツンと立ち尽くす。
急ぎすぎたかな…。
私は、気合の入った服を改めて、店のウィンドウで見た。
「だ…いじょうぶかなぁ」
私は、色んなポーズをしてみながら、笑顔の練習をする。
緊張するぅ…。もう、胸は裂けそうなぐらい、どきどきしていた。
「すんませーん。そこのお嬢さん」
「んえ?」
私は、ポカーンとしながら、背の高いチャラ男の3人に囲まれた。
「な、なんですか?」
「誰かと待ち合わせー?」
「えー、あー、はい」
私は、今何が起こっているか、わからず、ただ、ポカーンとする。
「でもさー、男が遅れて来るなんて、悪いやつだねー」
「え…?」
「どーせならさー、俺たちと一緒に遊ぼうよー」
「えぇ?」
私は、驚き、後ずさりする。
「ねー?俺たちと遊ぶほうが、きっと楽しいよー」
「そーそー」
「いや…あの…」
私は驚きのあまり、立ち竦む。
すると、後ろから、誰かが、私の腕を掴む。
そして、手を握られた。
「え…?」
私は、パッと後ろを振り向く。
「なんだー兄さん」
その人は、チャラ男を睨みつけて、
「こいつは、俺の女だから、絡むな」
「あぁ?」
「聞こえなかったか?俺の女だっつってんの」
「なんだてめー。もともとお前が、来るの遅いから、この女が困ってたんだよ」
「そうなのか?雪菜」
私は、いきなり指摘され、ビクッとしながらも、首を振った。
「ちがうよっ。あたしが、早く来ただけで…いきなりこの人たちが話しかけてきたの」
「な、何いってんだよ、ねーちゃん」
「雪菜がそーいってんだ、さっさと去れ」
「ちっ、つまんねーヤツ」
チャラ男は、ズカズカと去っていった。
「大丈夫か?雪菜」
「ごめんね、京助。」
「こっちこそごめん。もうちょっと早く着いてれば」
「いいよ。大丈夫だし。」
私は、ニコッと微笑んだ。すると、京助も、微笑み返す。
「俺、かっこよかった?」
突然の発言にびっくりする。
私は赤面になり、
「かっ…こよかったょ?」
「嬉しい」
「え…へへ」
私は、未だに、京助と手が繋がっている。暖かな手。
私は、さらに、強く握る。
すると、京助は、一度手を離し、恋人繋ぎに変えた。
「今日だけ…な?」
「う、うん」
私は、緊張しながらも、水族館へ向かった。