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高速剣の騎士VSエロ侍

良かったら、読んでいって下さい。


僕のプロフィールや活動報告などを、少し更新しました。また、良かったら見てみて下さい。


他の作品も、またよろしくお願いします。




ギッガは再び、重い剣を抜き、構える。虎兵衛も、刀を抜き、ゆったりとした姿勢で構える。


私の後ろで、騎士達の話し声が聞こえる。


「この勝負、どちらが勝つと思う?」

「どう考えても、ギッガ様だろう。あの方は、周辺諸国から"高速剣のギッガ"と恐れられてるんだから」

「そうだな。知らずに決闘を受けた、侍が気の毒だな」


そうなのだ。我が国の騎士団は、周辺諸国の中では、魔法使いがいなければ最強だ。その騎士団の中にあって、一番の剣の使い手なのが、ギッガなのだ。


あの重たいバスタードソードで、目にも見えない速さで、相手を斬りつける事から、"高速剣のギッガ"と呼ばれる様になったのだ。


私も正直、この決闘、虎兵衛がギッガに殺されると思ったから、止めさせたかったのだ。



しかし、私の見ている状況は、予想していたものとは違った。ギッガの様子がおかしい。顔から大量の汗を掻き、戸惑って、斬り込むのを躊躇しているような、そんな感じであった。


一方、虎兵衛は自然体で、余裕にも似た表情でギッガを見ている。


そういえば、私も虎兵衛が戦う所は、初めて見るのだ。私の"虎兵衛はギッガに負ける"という常識は、虎兵衛にとっての常識ではないのか、私はこの決闘から、目を離せなくなっていた。



そして、勝負は一瞬にして、決した。



覚悟を決めたギッガが、虎兵衛に斬り込んで行く。カンと鈍い金属音が鳴り響いたと思うと、ギッガのバスタードソードは宙を舞い、クルクルと数回転した後、地面に突き刺さる。


私は、あまりに二人の動きが速すぎて、何が起こったのか分からなかった。

気が付けば、虎兵衛の刀の切っ先が、ギッガの喉元に突き付けられていた。


「俺の負けだ・・・・。殺せ。生き恥はさらさぬ」

ギッガはひざまずき、うなだれる。


「嫌でござる。お主は殺すには惜しい男。だから、拙者がお主の命を、好きに使わせて貰うのでござる」

虎兵衛は刀を鞘に収め、アゴに手を当て考える。


「そうだ!拙者の友になって貰おう。そして、この国の役に立つように、命を使って貰おう」

「この俺に、生き恥をさらせと言うのか?」


「そうでござる。ま、あと、お主が死ぬと悲しむ者がおるので、殺すと拙者が悪者になるのでござる。負けたのだから、ごちゃごちゃ文句言わずに、拙者に従うでござる」


「それでいいのか。すまない・・・」

ギッガは再び、力なくうなだれる。


場にいた観衆達は、意外な結果にしばらく唖然としていたが、事が丸く収まった為、歓声が上がる。虎兵衛を、褒め称える声も聞こえる。


私は安心して、嬉しくて、涙が止まらなくなる。虎兵衛は、私の方を見て、ニッコリと微笑むとギッガの腕を掴んで立たせる。


「今から、サシで酒場で飲むでござる。二人で熱く、語り合うでござる」

虎兵衛はそう言うと、ギッガを引きずる様に、酒場へ連れて行こうとする。


「待て、まだ早朝だぞ。それに俺にはやる仕事がある」

「お主は先程、死んだ身。今日の仕事は、他の者に任せるでござる。お主に、断る権利などないのでござる。今日は飲むでござる」


と言うと、二人はそのまま去って行った。私は、ホントにあの人、無茶苦茶だなと思った。と同時に、器の大きい人だなとも感じた。


彼の強さ、考え方、最近、私は彼の事が気になって仕方がなかった。




その夜、私は城の廊下で、酔い潰れているギッガを目にする。今の今まで、虎兵衛に連れ回されて、飲んでいたのかと思うと、少し彼の事を気の毒に思う。


ギッガは私に気が付くと、申し訳なさそうな顔をし、フラフラになりながら、挨拶して来る。


「エリール様、申し訳ありません。騎士団長である私が何たる失態を・・・」

「いえ、構わないわ。どうせ、虎兵衛のヤツが、無理矢理いっぱい飲ませたんでしょ。同情するわ」


ギッガは苦笑いすると、真剣な顔を見せる。


「エリール様、あの侍と決闘した時、私は生きている心地がしませんでした。あの男が構えた瞬間、私は必ず敗北すると感じました。あの男の強さ、底が見えません・・・・」


「高速剣のギッガに、それほどまで言わせるとは・・・。やはり、あの決闘、まぐれじゃなかったのね?」


私が、チラッとギッガを見ると、ギッガはコクリとうなずく。


「あの男が、我が軍に加われば、戦況は変わるかもしれません。我等が隣国の侵略を、阻止出来るかもしれないのです。もしかしたら、エリール様なら、あの男の心を動かせるかもしれません。」


私は、これから、どうしたら良いのか考えていた。








読んで頂き、ありがとうございました。

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