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ヒューマンシステム 〜私たち、マシンに繋がってないと役に立たないの〜 生体兵器はヒトでありたい  作者: みつなはるね
第3章 彼と彼女のDetermination

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第16話 彼女と彼らの再会

 ロージレイザァの一番広いブリーフィングルームに、飛行戦隊のメンバーが集合し、スクリーン前には戦隊長のデシーカ中佐が立って説明をしている。


 その部屋の前方、左側の壁際に先ほど到着した8機のFAパイロット――ラディウ達は並んで立っていた。


「ベータカァポティ駐留艦隊との合同軍事演習を予定しているが、それに先んじて、我々ロージレイザァ飛行戦隊と、アーストルダム情報部の特別部隊で、対リープカインド戦を想定した訓練行う」


 デシーカは情報部の特別部隊と紹介しているが、実体はそれぞれが異なる所属先で飛んでいる、リープカインドのパイロットを集めた急造の混成部隊だ。


 本来であれば全員がリープカインドである事が望ましいのだろうが、如何せんラボには部隊長や小隊長を務める事ができる人材がいない。


 そこで上層部はトムの上官であるイーガンを部隊長に、その下に情報部のティーズを配置した臨時の部隊を編成した。


 ラディウ、トム、ヴァロージャ、スコットの他に、リンクシステム搭載機を扱えるDグループで艦隊勤務や基地勤務についているパイロットが二人加わり、小隊の体を為している。


 今回のロージレイザァ派遣に先立ち、彼らは3週間前から召集され、最初の2週間はスコットとダニエラ・”デーツー”・ダグラス中尉はツクヨミで、ラディウとヴァロージャ、レオン・”レーベ”・ガリー二中尉はアーストルダムで、それぞれがイーガンとティーズの指揮の元で訓練を行った。


そして、最後の1週間はチーム全体で連携を取り合う訓練を行い、こうしてロージレイザァに赴いている。


「特別部隊シエラの部隊長を紹介する。ニコラス・”ロバスト”・イーガン少佐だ」


 紹介されたイーガンがデシーカの隣に立つ。

 ラディウはチラリと右隣に立つトムの様子を伺うと、彼は誇らしげな表情でイーガンを見ていた。トムがイーガンに全幅の信頼を寄せ尊敬しているのが良くわかる。


 ラディウはチラチラと自分に向けられる目線や、ヴァロージャに気づいた94期組の気配を極力無視する様に、前方のイーガンの話に集中した。


 「期間は2週間。実機及びシミュレーターを使った演習を行う」


 今年の夏に起きた、ユモミリーと目される敵リープカインド部隊との戦闘が、この計画の発端だった。


 ロージレイザァ隊はまだ結成2ヶ月と日も浅く、戦隊が独自の色に染まっていない事、試験運用の際にラディウとスコットが乗っていた事が、ここで実施される要因になったと、事前の説明でラディウはそう聞いている。


「目的は敵部隊にリープカインドが複数いた場合の対応方法を学び、彼らの戦闘スタイルに慣れてもらうことだ」


 イーガンは演習内容を説明した後、ティーズを含めたメンバーを紹介した。


 最後にデシーカが締めて解散を言い渡す。一気に人が動き出し、当然ルゥリシアをはじめとする94期組や、少尉勉強会仲間達がラディウとヴァロージャを取り囲んだ。


 スコットも馴染みの飛行士たちと挨拶を交わしている。


「ラディウ! また会えたわ!」

「演習の話が出た時、あなたが来るだろうってみんな話していたのよ」


 ルゥリシアとジェニファーに交互にハグをされラディウは微笑する。


「転属したなら連絡しろよ!」


 彼女らの背後からステファンの声がして、彼が前に出てきた。


「ヴァロージャまで化け物枠かよ」


 相変わらずのストレートなその物言いに、ヴァロージャは困った様に笑う。


「”ラスカル”、相変わらず失礼な奴だな。言い方っていうのがあるぞ?」


 そう言って笑い合い、お互いハグをする。


「ねぇ、イーガン少佐もティーズ大尉も、実はリープカインドなの?」


 ジェニファーの質問に、ラディウは首を横に振る。


「違うよ。私たち人数が少なすぎて、小隊長資格を持っている人がいないの。イーガン少佐はトムの……トーマス・ヘンウッド少尉の上官なの」


 そう言って、ラディウは少し離れたところで戸惑っているトムの腕をひき、彼女らにトムを紹介した。


「トーマス・”ガット”・ヘンウッドです。よろしく」


 トムの普段の溌剌はつらつさがなりをひそめ、照れ臭そうに自己紹介をする。まるで借りてきた猫のようだ。


「彼、私の同期で普段はツクヨミで勤務してるの」


 ね?っとラディウがトムの方を見ると、彼は小さく頷く。


「私はルゥリシア、彼女はジェニファー、そしてあそこにいる失礼マシンガンがステファン。ラディウの天敵」

「あぁ? 誰が天敵だって?」


 無理やりステファンが割り込んでくる。


「うるさい……”ラスカル”」


 ラディウが鬱陶うっとうしそうに呟くが、その顔は穏やかに笑っている。


「ほら少尉共! おしゃべりは後だ。タイムスケジュールを確認しろ。荷物を片付けるぞ」


 そう言ってレオンがヴァロージャとラディウの背中を押す。その後をトムがついていく。


「ラディウ! 私の部屋は前と同じ。連絡ちょうだい。みんなでご飯食べましょう。もちろん、ヘンウッド少尉もね!」

「わかった!」


 ラディウはひらひらと手を振り、トムはチョコンと頭を下げた。







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