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その1 偽物の勇気、ちぐはぐな覚悟
正直、憧れではある。
美しい羅列、潜められる糸、迷走しない物語、捗る考察、
数え出したらキリが無い。
感性溢れるものである。
ただ、先人達は素晴らしく、踏み込むにはそれ相応の覚悟と勇気が必要だ。
『埋もれてしまうのでは』と常に頭の片隅にいて、今にもその言葉は存在感を出そうとする。
奴らは弱くて惨めったらしい心に漬け込んで、安息を得ようとする。
抑え込めば、いけるだろうか、
いや、無理だな。
友達とのノリなら………いけるか。いけるな。
そう、ノリという暗示をかけるんだ
あの時のテンションを思い出すんだ。
よし、『不安』の文字に洗剤でも浸け置きしたらきっと消えるだろう。
貰い物の勇気でも、覚悟を縫い合わせて
飛び込め。
―ようこそ、こちらの世界へ―
…気分はよかった。
でも、あんなに悩んでた割には味気なかった。
とりあえず、いいじゃないか。
早々に誰かと会話する訳でも、顔を曝け出す訳でもないし、
ましてや、多数の目線に刺される訳でもない。
いいじゃないか、気楽で。
私はこの先上手くいく、と妄想が捗り、ニヤついた顔をしていた。
…ここまで気持ち悪い顔が出来たとは、我ながら少し恐ろしい。




