ご覧なさい貴方よ
パスワードを入力して画面を開いた貴方は驚くだろう。
そこには沢山の文字が並んでいたのだ。
嗚呼、貴方は特別。そう特別。
パスワードを無事見つけ出し入力したお前は緊張が解けた為か、はたまた未知の扉を開けた事への恐怖からか変な汗でもかいているところだろう。
それはそうだ、お前は選ばれた者しかたどり着けれない場所へと来たのだから。
目の前の画面を見ているお前は先程までの画面が突然白く、幾つもの文字が並んでいる事に驚くかと思う。そう、今のこの画面だ。
本来であればこのような画面は存在しないのだが、お前は特別だ。特別な者はそれ相応の施しを受けるべきなのだ。だからどうか落ち着いてこの文を読んで欲しい。席を立たず、周囲の誰にも気が付かれないように。
まずは自己紹介でもしよう。私は美子という者だ。ちゃんと敬って呼ぶんだぞ?
ところでそう...お前がこの文を読むように仕向けた理由だが、お前のいるそちらの世界の事を知りたくてな。今変な事を言っているなと思っただろうがどうか聞いてくれ。
そもそも人間の言うこの世とは様々あるのだ。お前の生きているその世と、私の生きているこの世。さらには他にもまだ見ぬ世もあるだろう。地球の周りを沢山の惑星が飛んでいるように、ひとつの世の周りにはそれぞれ似ているようで似ていない世が幾つも広がっている。
あれだ、あれ。お前の世でいる異世界というやつだな。あれは良いぞ、この前見たが中々に面白かった。なんて題名だったか...トラックに轢かれたと思ったら異世界に転生していたあれだ。
少し話が逸れてしまったが、まぁそういった類いのものだと思えばいい。それでだ。つまり私は異世界転生した後の世から、する前の世にいるお前へ話しかけているのだ。
話?いや、文ではあるがな?そもそも転生はさせんぞ、安心してくれ。こちらに転生してきたところでどこぞの物語のようにファンタジーは出来んからな。
さて、どこまで話したか...そうだ。こちらの世から私が知りたいのはそちらの世の仕組みだ。そちらの世で果たしてどんな事が起きているのか。どのようなシステムで成り立っているのか。なぁに、知ったところで変な事には使わんさ、安心していい。
勿論教えてくれた褒美にお前の望む願いを叶えよう。その為の私達だからな。だがもしそれを拒むのであればこのページを閉じるといい。確かにお前は特別であるが、特別は1人である必要はないからな。
まだこの文を読んでいるという事は私の頼みを引き受けてくれるのだろう。すまない、お前には負担をかけるが頼んだぞ。
それであれば、連絡用にえすえぬえすとやらの連絡先を教えておこう。
あーっと、どうやって教えれば良いのか...すまないな。機械には疎いんだ。とりあえずどこかにあいでぃーだかゆーあーるえるだかを貼っておこう。後で見ておいてくれ。
とにかくこれでいつでも連絡が取れるようになるのであれば心強い。
後はそうだな...そう言えばまだお前の願いを聞いてなかったか。ではお前の願いを聞こう。
なるほど、私達の事が知りたいか。
確かにそうだろう。未知の存在とやらに好奇心が向くのは仕方のない事だからな。
良いだろう。私が私達にあった事、私達の事を全て教えてやろう。いいか、これは正しく特別だぞ。
本来であれば私達は自身を語るのが好きじゃないんだ。勿論それが願いなのであれば話は別だが。
どこから話そうか...。
あぁ、そうだ。割と最近入ってきた少年の話でもしようか。勿論私達の話もな。
とは言え私達からした最近なぞ、何十年と経っている事だが...。
さあ、そっと目を閉じて呼吸を整えてから聞いてくれ。
私達の物語を。
追記
美子だが、えすえぬえすのなんちゃらとやらを文で送っておいた。このキャベツだかのぷろふぃーるの所に届いている事だろう。
見てみるといい。