落下
ザワザワ
「はい、全員揃いましたね。エプロンをつけて調理器具を各班前の机から持って行ってください。」
「俺が行ってくるよ。」
「おっけー」
城田はよく人の為に動けて頼れる奴だ。
「水島くん、エプロンの紐ちゃんと結べてないよ?ちょっと私が直してあげる。」
「あっ、松下助かるな。」
僕の班は5人班だ。クラスは40人だからちょうど8つの班が出来るわけだ。
僕の班のメンバーは自分、水島、松下、城田、あと一人は無口な鶴崎だ。
男女比率は4:1といったところか。家庭科の調理実習は女が複数人いるとやりやすいんだが。
早速野菜炒めを作っていこうか。
「佐藤くん、野菜切ってて。」
「ああ」水島以外には冷たい奴だ。どうでもいいが、水島は女から定評がある。顔は男らしくて性格も明るいからだろう。僕は恋愛には興味無いが。
「佐藤くん早く、こっちも忙しいんだから。」
「分かってるよ。キャベツを言われる間でもなく早く切るよ。」
ザクザクザク....指を切らないように慎重に...
「鶴崎、ちょっと窓側に置いてある雑巾取ってきてくんね?」
「うん。」
その会話が終わった瞬間に戦闘機のような甲高いが聞こえる。グラウンドに轟音と共に何かが降ってきた。グラウンドに着いた時に地震のような振動が学校全体を襲う。
「きゃー」「うわっー」「何だ?」
クラスもそうだが学校中に悲鳴やどよめきが聞こえる。
「佐藤何が起きたんだ?」
「分からないよ。グラウンドに何か落ちたみたいだ。飛行機か、はたまたヘリか。」
調理室はグラウンド側で三階にあるのでグラウンドの状態がよく見える。
何が落ちたのか見ようとしてみんなが窓側に集まって行く。
「土煙で見えないな。」
先生も落ち着きを取り戻して指揮する。
「先生はグラウンドを見てきます。もし落ちたものが飛行機等の乗り物だとすると早く助けに行かないと行けませんから。皆さんはそのまま待機しておいて下さい。」
「なんだろう、黒い塊?」
「いや、水嶋くん、あれは何かの乗り物かも」
僕も正直何か分からない。適当に乗り物と答えたが飛んできたんだから誰かが乗ってて操縦してるはずだ。そろそろ土煙が収まりそうだ。
現れたのは見たことの無い形をした黒色の箱のようなものだった。大きさはグラウンドにいる先生と比較しても高さ3メートル、幅は縦に8メートル横に4メートル位だ。 何かごちゃごちゃした機械があちこちに付いている。
「え?」
側面の扉の様なものが開いた。
中から出てきたのは機械と一体化した人のようなものだった。
窓側で考えられていた予想は全て外れた。
出てきたヤツが1人の先生の首を掴んで地面に叩きつけた。血が飛ぶ。
恐怖が学校全体を駆け巡る。