甘い 苦い しょっぱい
涙の味を知っているか
僕は答えた
「もちろん、塩辛い」
笑われた
「お前はひどい男なんだな」と
首をかしげる
自分の涙をなめたとき
確かに塩の味がした
そう言っても男はどこ吹く風
からからと笑っていった
「お前はまだまだ知らないことが多い
いい男になればわかる
涙は塩辛いものではないのだと」
涙の味はいつまでたっても
塩辛いままだ
男がいっていたいい男には程遠いのだろう
だって
俺の心は切なく搾り上げられるし
愛しいと悲鳴を上げても
己の涙はただ流れるだけなのだから
拭った手をなめて思わず口からこぼれた
「苦いなぁ」