星の雨
テーマ『夏』『彗星』
@琥珀様とのコラボ企画です。
この小さな村でも今年は酷暑が続いている。
暑さで倒れる者も出ていて、作物やその日の狩りにも影響が出始めている。
そんな中、今日も今日とて作業に取り掛かろうと村じゅうが動き始めたその時、村で唯一の〈星見のばぁ〉が血相を変えて飛び出してきた。
「なんだいばぁちゃん、雨でも降るって?」
村人の1人が尋ねると、
「雨は雨でも星の雨だよ!今日は神の遣いがおいでなさるぞ!」
興奮の冷めやまぬばぁの大きな声が周囲に響き渡る。
「そ、そりゃ本当かい!?ばぁちゃん!」
「本当だとも、こんな事で嘘をついてどうする。」
さあ、祭りの準備をするんだよっ、と急かすばぁ。
この村では数百年に1度、星の雨が降ると神の遣いも現れるとされており、それを歓迎する祭りが開かれる。ただし、いつ降るのかは星見にしか分からず、分かるのは降る当日なので夏になると皆が星見からの報せを心待ちにする。
「星の雨だ!星の雨が降るぞー!!」
「他の奴らにも知らせてくるっ。」
急に活気づく大人達に、子供たちも何かあったのかと集まってくる。
「ねえ、何があったの?面白いこと?」
子供が尋ねると大人達は、
「今日はとってもいい事があるんだ。ほら、皆で木の実を取っておいで。」
と、子供たちにも用意を手伝わせ、集まっていた人々も祭りの準備に取り掛かる。
「ああ、これで暑さに負けていた作物も少しは良くなることじゃろう。」
星見のばぁはポツリと呟く。そして子供たちの舞の衣装を作らねば、といそいそ家へ引き返す。
ここまで読んで頂きありがとうございました。m(_ _)m
※誤字脱字等は見つけ次第至急報告お願いします。直します。