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 「ふわあぁぁぁぁ・・。疲れた」


 昨日の内に案内されていた学生寮に帰り着いた。既に寮入りを済ませており、服などの物も持ち込んでいる。


 「ただいま」

 「ん、おかえり」


 ベッドで横になっていたビーが体を起こし目を擦っていた。

 すぐさま暑苦しいネクタイを外し、制服を脱ぐ。


 「どう、だった?」

 「ん?学園か?」

 「ん」

 「どう、と言われてもな・・」


 ラフな私服に着替えるつもりだったが、途中で気怠くなったので下着のままベッドに向かう。

 ビーを横に退け、ベッドに背を投げながらいくつか思考する。


 「・・校内の実地周回はまだまだ。存在している人間の把握もまったく。授業の合間での行動も難しい上に、授業なんかでのフリの最適化すら不安。・・まぁこれから次第、としか言えないな・・ふぃー」

 「・・・ますたー、おつかれ?」

 「疲れたな。今までとは全然違うし、尚更」

 「そう」


 目を閉じ、大きく深い深呼吸を一息。

 落ち着ける空気を体いっぱいに取り込み、今日の疲労やこれからへの顧慮、その他諸々をまとめて吐き出した。

 部屋で物音は特にしない、かすかに聞こえるのは窓や扉の方から入ってくる外の雑音のみ。そんな物静かな状況のまま脱力すること数分。


 「で、そっちは?」


 開けた横目で真横に腰掛けるビーを見ながら問う。


 「ん、いまいち」

 「だろうな」

 「まだ、ぜんぜん、じかん、たりない」

 「だよなー」


 当たり前っちゃ当たり前だが、学園でのアレコレは今日から行動するのだ、まだまだなのは当然。王都にも来てまだ数日だ。


 「まぁこれからだ。急いでもしょうがない、気楽に行くぞ」

 「ん」

 「後、貴族のクロネットとベルテナカント、後余裕があればカルイストについて軽く調べておいてくれ」

 「くろねっと、べるてなかんと、かるいすと」

 「そうだ、現状はとりあえず軽くで良い。今の当家の人数、最近の外交の相手。それくらいか」

 「わかった、ゆうせん、やっておく」


 ビーが一つ頷いたのを確認して、目を閉じてゆっくりする。すると、ちょんちょんと突つかれる。


 「ますたー、ごはん」

 「んぁ?外で済ませるように言わなかったか?」


 今日は編入初日という事もあって、放課後は教師からの問答や教材等の配布物の譲渡等があり、帰りが遅くなることがわかっていた。実際外はもうすぐ夜である。


 「ん、ちがう、ゴハン」

 「ん?ってオイコラ。テメェその魔力量どうした?」

 「ん、ねこさん、おいかけっこ、つかれた」

 「追いかけっこって・・今朝見た時はまだ十分すぎる程あったろ?」


 たかがちょっと走った程度で消費するとは思えない。


 「・・・・よじかん、がんばった」

 「アホか」


 俺が学校に行ってる間、コイツは外で四時間も猫と戯れていたというのか。ていうか


 「どの口が時間足りない、だ」

 「ん、この、くち」


 小鳥の如く唇を軽く突き出しながら迫ってくる。


 「えぇい暑苦しい寄るな被さるな抱きつくな」

 「ますたー、ごはん、くれなきゃ、・・・やー」

 「やー、じゃねぇ自己責任だろーが」

 「つかいま、かんり、ますたー、の、ぎむ」

 「無駄遣いを許容した覚えはない」

 「するな、とも、いわれてない」

 「屁理屈言うな。罰だ罰」

 「・・・いっぱい、がんばるよ?」

 「オイ乳首を突つくな。あぁもうわかったよ!ほら来い」

 「ん、すなお、いちばん」

 「・・」


 いつもより多めに泣かす。

 そう決めた。


 因みに、亜種的というか不完全なホムンクルスであるビー(コイツ)へは定期的な魔力供給が必要であり、方法は色々とあるが、俺の属性魔法の関係で性交渉がもっとも効率の良い方法だったりする。

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