5、救出作戦開始!〜side アムン&マラ&サティ〜
ほんっとうに、お待たせしました……
サブタイ、もしかしたら変えるかもです
集まった村人たちは、しばらくの間その光景に驚いて呆然としていたが、そんな場合ではないと正気に戻る。また、まだ呆けている者がいると、近くにいた者が揺さぶったり、呼びかけたりして正気にさせている。中にはそれでも戻って来ない強者もおり、そんな者には拳骨が落とされたり、ビンタがお見舞いされてやっと戻るという光景も見られたり。
正気に戻った大人たちは未だに目の前の光景を完全には受け入られてはいないが、とにかく今は子供たちを助けることが先決だということは分かっていた。しかし、どうすれば良いのかということが分からず、方法を考え始める。
だが、一部の者たちは頭がパニックに陥って正常な思考が出来ずに「お、おい、何だよあれ!?」とか「どうしよう」とおろおろしている。
そうしていると、突然大きな声がその場に響いた。
「落ち着かんか!!お前たち!」
村人たちは皆ビクッとなり、静かになった。大人たちの集団の中から1人の男性が出て来る。
「アランじい!」
短く刈り込んだ白髪交じりの赤褐色の髪に茶色の瞳、良い色に日焼けした肌をした見た目50代のおじさんで、名をアランという。村人たちからは「アランじい」と呼ばれており、アムンの祖父でもある。
「アランじい、どうしましょう?」
アランじいは柵の前まで行き、激しく暴れているゼノとシャーリス、引きずられているアムンを含めたマラたち3人を見ている。そんな彼に近くにいた1人が指示を仰いだ。
そう聞かれたアランじいは柵のほうを向いていた体をくるりとひるがえし、村人たちの方を向く。
「まずは落ち着け。そうしないと話すら出来ないだろうに。全てはそれからじゃよ」
アランじいの最初の一喝で静かになっていた村人たちは冷静さを取り戻していく。
完全に落ち着いたことを認めたアランじいが話し始める。
「うむ、落ち着いたようじゃな。では、方針を話すぞ。
まずは、わしの馬鹿孫とマラとサティの3人には自力でこちらまで来てもらう。まあ、手を貸さなくても大丈夫なところまで来ておる様だしの。柵まできたら外に出るのを助けてやる程度で良かろう。
次に、シャーリスじゃが、ゼノを誘導しつつあそこまで来てもらう」
そう言って少し離れた場所を指差す。ここからはある程度離れているために、たとえゼノが暴れてもこちらには影響が来ない距離である。
「柵まで来たらシャーリスを外に出す。それからゼノを静めるんじゃ。
皆、分かったな?」
その問いかけに対して首を縦に振ったり、「おう!」と言ったりと様々に返答を返す村人たち。それを見たアランじいは
「ならば、行動開始じゃ」
それを聞いた村人たちはゼノとシャーリスを担当する者、こちらへ来るマラたち3人を担当する者たちと自然に2つに分かれた。
一方、マラとサティはアランじいたちが話している間も未だに正気に戻らないアムンを連れて向かっていたため、あともう少しで柵までたどり着くところまで来ていた。
大人たちの中で、3人を助けるために残った者たちは今か今かと待ちながら、3人(主にマラとサティ)に声援を送り始める。
「あともう少しだ、がんばれ!」
「ここまで来たら外に出してやるぞ~!」
「ほら、最後あと少しだよ!頑張りな!!」
「さっさと正気の戻って自分の足で歩きやがれ、いたずら小僧!!」
一部、アムンに対する言葉も混じっていたが…。
柵の近くで遊んでいたとはいえ、放牧場は広く、子供にとってはそこそこの距離がある。それに加えて、アムンを連れている2人は疲れていた。だが、あともう少し!、と思い歩いていた。
そして、しばらくしてようやく柵までたどり着くことができた。大人たちは3人を抱え上げて柵の外へと出す。
やっと、マラとサティの2人はアムンから解放されて一息つくことができた。
しかし、ここまで連れて来てもらった上に、この事件が起きるきっかけを作った張本人はやはりここに来るまでには目を覚ますことは無く、未だにその様子は無い。
もう1つの集団、ゼノとシャーリスを担当する者たちはアランじいが示した場所へ行くと、そのうちの1人がゼノの気を引き続けているシャーリスに
「おーい、シャーリス!ゼノをこっちに連れて来てくれ!柵まで来たところでお前さんは外に出す。そこからは俺たちが代わる!!」
と言った。
その言葉に対してシャーリスは返事をする余裕も無いのか、ただ右手を上げて後ろ手に振っただけであった。
シャーリスは暴れるゼノに蹴られたりせずに安全ではあるが、マラやサティたちに気が向かないギリギリの距離でゼノを引き付け続けていた。こちらへ来るようにと言われてからはその距離を保ちつつも、徐々に柵へと近づいていく。それから少しして、マラたち3人が無事に柵の外に出たことを目の端で認めると、柵の方へと全速力で走り出した!ゼノの気を引き続ける理由が消えたからであった。
ゼノは急に走り出して向こうへと遠ざかりつつある、さっきまで目の前にいた人物を追いかけ始める。シャーリスはゼノが後ろから追って来ているのを聞き、嫌な汗が背中をつたう。
追いつかれないように全力で走るシャーリス。それを追うゼノ。その距離は少しずつだが、狭まっていく。
柵の外で待機している大人たちも手に汗握り、何も言えずにいた。
前話を投稿したのはいつだろうかと思い、確認したところ、丸々一ヶ月経っていました…。
そんなに経っていたのかととても驚きました。その間、読者の方々にはお待たせしてしまいました…。
時間の流れって速くて怖いです。
まだまだ読者数は少ないですが、読んで下さっている皆さんにはすみませんでした。
この一ヶ月間は親とけんかして家出したり、旅行に行ったり、新しくバイトを増やしたりと忙しくしていました。
来月になると大学の春休みも終わりなので更新ペースは落ちますが、最低でも月に3回程度、出来れば週一で更新していきたいと考えています。
つたない作品ですが、これからも楽しんで頂けたらうれしいです!
次回の更新をお待ち下さい!!