3、怒りのゼノ(ゼノ視点)
少し遅くなりましたが、3話目です!
前回の後書きで予告したゼノ視点です。
しなやかな筋肉の付いた体を艶ややかな黒毛が覆い、瞳は理知的な光をたたえる。
黒く豊かなたてがみと尻尾が風になびく。
それが俺様、「ゼノ」だ。
俺のこの体にメス共はメロメロで向こうから寄って来る。ここにいる他のオス共が羨むほどに寄って来るのだ。食事をしていても少し離れた場所だが、目に入る範囲で食事をしている程だ。
俺がいるのは村人共がいう六の村って場所らしい。まあ、どうでもいいんで詳しくは知らん。俺は興味を持ったことにしか関心がない。それに、俺が乗せてやっても良いと思ったやつしか背には乗せない。だから、それ以外のやつが乗ったりすれば痛ったーい仕返しをしてやる。もう二度と俺には今後乗らないと思わせるようなやつをだ。
ところで、俺たち馬は視野が広く、ほとんど360度を見ることが出来る。そのおかげで他のやつが乗ろうとしても前を見ていたって分かる。そんなやつにはわざと「乗れるかも?」って思わせてやってからやってやるのさ。
乗る時にはほとんど必ず、まずは片足を鐙に掛け、その次に体を引き上げて跨る。この順序で村人共は乗ってくる。そして、その順序にこそ付け入る隙がある。
村人共は俺たちに乗るための道具を付けてくる。その時に他のやつだと分かっていたとしても、ここではまだやらない。
なぜならそうしないと、分からせらんないだろ?俺には乗れないって。
道具を付けられたら、ここからはタイミングが大切だ。片足を鐙にかけて、体重を乗せて来たらその時だ。跨がられる前に暴れ始める。飛んだり跳ねたり、後ろ足で蹴り上げたりしてやる。
そうすると、みんな驚いて逃げ始めるが、気の小さいやつや驚き過ぎたやつなんかはその場に座り込んじまったりして動けなくなって、逃げられなくなったりする。俺に蹴られてケガをするやつもいる。そんでもって、そいつ等は俺に乗ることは無理なんだって体をもって知ることになるって訳よ。
そんな訳で村人共が時々懲りずに俺に乗ろうとしてくる事を除いて、俺は他のことには煩わされることなく自由に過ごしていた。
そんなある日、俺が食事をしていると柵を越えて4人の子供が入って来た。その日、柵の近くで俺達の好物の花が咲いていたので、俺は一番たくさん咲いていた柵の近くで食べていた。このため、俺が一番子供から近くにいた。しかし、どうでも良かったので、無視をして食事を続ける事にする。うむ、やはりシャラの花は美味い。モシャモシャ。
そうしていると、俺の後ろに子供が行くのが見えたら急に何かにしっぽを引っ張られた。強くは無く、少し遠慮気味な感じであった。あの子供にされたのだと分かった。俺は自慢のしっぽを引っ張られたために暴れてやろうかと思ったが、そんな小さな事に煩わされる俺ではないと踏み止まる。そうしていると、その子供は他の3人がいる所まで走って戻って行く。
その後2人が1人目同じ様に俺のしっぽを引っ張ってきた。その間も俺は気にせずに食事を続けていたが、4人目の子供の時は違った。俺は完全にキレた。
そいつは俺の背後に回って来るなり、なんと、俺のしっぽを思いっ切り引っ張ってきたんだ!!
子供なんかどうでもいいと思っていたし、それに今までの3人は引っ張ってきたとしても強くは無かったので面白くはないが暴れるのを控えてやっていた。
だが!!こいつだけは許さねぇ!!!俺も我慢の限界だっっ!!!蹴り飛ばしてくれる!!
と、急に暴れ始めた俺を見てその子供は離れた場所で見ていた3人の元へと逃げて行った。それを見た俺はそいつを目指して行くと、子供たちはバラバラに逃げて行った。
俺のしっぽを引っ張りやがたあいつは何処に逃げやがった、と思っていると1人の子供が目の前に飛び出してきた。あの子供か!と俺が踏んで、蹴飛ばしてやる!とそいつ目掛けて両前足を振り上げて振り下ろすが、子供はヒラリと横に避けてしまう。それを数度繰り返しているうちに、目標の子供よりも先にこいつを蹴り飛ばしてやるという考えに変わった。
そうしているうちに、いつの間にか柵の外が騒がしくなっている事に気が付いた。どうやら、村人共が集まって来たみたいだ。
まだ出てこない主人公……(*´・ω・`)
もう少し後になりますので、お待ちくださいませ