お嬢ちゃん
七夕の季節、人が賑わうデパートで1人女の子が笹を眺めていた。
不思議とその女の子の近くには人が集まってなかった
女の子は1人寂しそうに笹を眺めている
「お嬢ちゃん、何か願い事を書いてみてはどうかい?」
私は女の子の近くのテーブルに置いてあった短冊とマジックを渡す。
女の子は私から受け取ると
「お嬢ちゃんと呼ばれるほど若くないわ」
そう言いながら少し微笑んだ
女の子は静かに丁寧な文字で願いを書き始めた
私は現代の子供は何を願っているのか気になり見続ける
女の子の願いは短く、恐ろしい内容であった
「お嬢ちゃん、何か悩み事があるのかい?」
私が聞くと
「悩み事? 今こうやってアナタと話している事が嫌で仕方ないわ 」
女の子はそう言いながら笹に短冊を付けた
「お嬢ちゃん!1人で来たのかい?お母さんとお父さんは何処にいるんだい?」
私はこの子の両親が気になり始めた
「両親は30年前に殺しました。それではごきげんよう 」
女の子は私に頭を下げてから歩き出した
私は女の子を見続けた
おかしい…
あんなに幼いのに30年前に生きているはずがない
私はこっそりと女の子を追った
女の子はデパート内を1人堂々と歩きエレベーターに乗った
私も急いで同じエレベーターに乗る
「お、お嬢ちゃん、また会ったね」
私は偶然を装うために嘘をついた
「そうね。私達気が合うのかもしれないわね」
女の子は私を不気味な笑みで見つめる
エレベーターは静かに締まり、下の階へと動き始めた。
1階に到着しました。
エレベーターの機械が一階に着いたことを知らせる
「意外と時間かかったわね」
エレベーターからは女の子1人が降りてきた