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2-1 佐渡原さんはサディスティック

 最上さんと友達になって次の日の放課後。僕と最上さんは席を挟んだ向かい合わせにとある会議を行っていた。


「それではこれより、最上さん友達作ろう大作戦を決行したいと思います」

「はいっ、よろしくお願いします」


 最上さんは目を点にして表情は強張り、緊張で背筋が伸びきっている。


「そこまで硬くならなくて大丈夫なんだけど」

「お、お友達と放課後に遊ぶなんてシチュエーション始めてでして……。ご指導ご鞭撻よろしくお願いしますね」


 目の前にいる女子の悲しい過去が聞けた。涙で前が見えない。


 最上さんは力がとてつもなく強い。どのくらいかと言うと、ものすごいスピードで突っ込んで来たトラックを軽々撥ね飛ばせるほどにだ。だからこそ、小中では周りの人から疎遠にされた、もしくは周りの人を近づけなかったのにも頷けるが。


「それで友達になってくれそうな人は、俺の友達の尻杉って奴に事前にリサーチして貰っている」

「リサーチですか。その尻杉さんはお友達にはなれそうにないのですか?」

「え? あいつはダメだよ。変態で助平で煩悩に塗れてるんだから」


 最上さんに絶対近づけたくない男No.1を堂々飾っている。あのそばかすはできるだけ遠ざけるのだ。


「で、閑話休題なんだけど。えっと、今回会うのは同じく1年の佐渡原呂那古(さどはらりょなこ)さん。科学部に所属していて、なんでも『生命の魔術師』なんて通り名で呼ばれてるらしいよ」


 少年漫画の敵キャラに出てきそうな通り名を持ってるなこの子。現実に通り名なんてものがあるのがまず驚きなのに。


「ぜひお会いしたいです。ですが、今から行ってご迷惑ではありませんか?」

「そこは大丈夫。尻杉が事前にアポイントを取ってるらしいから。生物実験室に向かおうか」


 俺は不安げに、最上さんは楽しげな表情を浮かべて席を立つ。


「楽しみです! ですが、私なにぶん人とあんまり話さないですから」

「僕が先立って話すので、安心していてください。お友達になってもらえるように、上手く話を進めますよ」


 考えてみればこれは好感度を上げるいいチャンスなのだ。『生命の魔術師』がどんなもんかは知らないけれどたかが高校生、その程度は知れている。友達になれない事はないはずだ。


「それじゃあ、行きましょうか」


 目指すは斜陽に染まった生物実験室。僕は浮き足立つ最上さんを引き連れて、まだ人の多い廊下をズンズンズンと突き進んで行った。

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