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1-2 持名くんのリベンジ

 先日思いがけないところで同じクラスの最上さんに告白まがいな事をしてしまい(これについては僕の本意ではなかったのだが、色々な偶然が重なってしまった不運である)あえなく撃沈した僕だったが、3日も経てば自分の身に降りかかった不幸なんて屁でもなくなる。僕はその日学校に来ると、とある友人の元へ向かった。


「おい尻杉(しりすぎ)、いま暇か?」

「お前には暇でも、暇じゃなくても関係ないだろ」


 なんて失礼な!一応節度は持っているさ!きっと。

 このギザギザ髪と瓶底メガネの僕に対して異常に失礼な男は尻杉。校内一の情報通で、彼に聞けば大抵のことはわかってしまうという。きゅうり好きの妖怪のような外見からは信じ難いことに、現在彼女持ちのバリバリの裏切り者だ。爆破しろ。


「今度は何の用だ?」


 裏切り者がぶっきらぼうに聞いて来る。僕と組んだ不結女同盟はどうした。あの日押した血判は嘘だったのか!?髪の毛もチャラチャラした色に染めて、なんだその髪型は。ジャニ○ズ気取りか!


「……聞いてないよな」

「キイテルヨー」


 間者の疑わしげな目を避けて、僕は本題に入る事にした。


「最上強子さんの事についてだ!なにか情報はないか?」

「最上?ああ、あの地味な女子か。なんだ持名はそんな奴が好きになったのか」


 そうかそうか、と嬉しそうに頷く。下世話なカッパめ。家に帰ったら頭の皿が割れる呪いをかけておかなければ。いや、頭に皿なんてないけど。


「そうかー。でも、残念ながら彼女の情報はほとんど無いな」


 カッパ……じゃなかった尻杉が頭をボリボリ搔きむしりながら苦笑いする。


「お前でも?なんで?」

「なんでと言われてもな……。不思議な事にな、彼女に関してなにか知ってる奴がほとんどいないんだよ」


 困った。これではちゃんとした告白が、あの日のリベンジが出来ないではないか!予習と復習をしないと何にも出来ない男、それが僕。


「何を迷ってるんだよ」


 尻杉がオロオロしてる僕に笑いかける。他人事だと思って余裕だな!爆破しろ!


「お前らしくいけよ」


 その言葉がやけに軽かったので、僕は何も言えずにその場を後にする事になった。なんか負けた気分だ。



 僕らしくってなんだろう。クソブタ野郎らしく大人しく諦めておけと言うことか。それはあまりに残酷じゃない!?僕だって恋の一つや二つしてるんだぞ!

 でも、そうでないとしたら。ならいったい僕らしくとはなんだろう?


 悶々と考えながら歩き続けてちょうど校舎裏に差し掛かったとき、僕は衝撃の光景を目にした。なんと、最上さんがカツアゲされてるではないか!や、遠目から見ただけだから本当にカツアゲなのかはわからないけど、でも確かにギャル達に囲まれている。困った顔もしてるんだ。


 無意識に僕は彼女達の方へ飛び出していた。

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