もう流れ作業的にやってます①
「なぁ、今の女の人見た? 随分イライラしてたな・・。それで牛乳を買ったのかな。
牛乳2本買うと50円引きと聞いて最初は喜んでたんだけど、すぐに“いや・・不幸中の幸いか・・“ぽっちゃりとんぼメガネが・・”とかぼそっと罵っていたけど、一体何があったんだ?
もしかして、ストーカーに悩まされているとか? なぁ今の女の人、なんか~」
コンビニ店員の二人は、その後しばらくの間、さっきまで客がいるのも顧みずせっせと精を出していた品出しの作業はそっちのけにし、深夜にパックの1ℓの牛乳2本をイライラしながら買いに来た女の子に一体何があったのかしばらく二人で談義していた。
[ガチャ、バタン、ガチャガチャ]
「・・ふう・・」
女の子は玄関のドアを閉めて鍵をかけ、チェーンをつけると一息着いた。
サンダルを脱ぎ、部屋に入ると、テーブルに財布と携帯と部屋の鍵を置き、黒縁の伊達メガネをカランと転がした。
キッチンの作業台に買ってきた牛乳を袋から出して2本トンと置き、袋は軽く玉結びにして、冷蔵庫のサイドに付けられているメガホンのような形の袋入れにポイと投げ入れた。
そのまま洗面所に向かい電気をつけると、洗面台の蛇口を捻って水を出し、ハンドソープを使って手を洗った。
水を止めると、手の水を切って、洗面台の鏡の下に置いてあるティッシュ箱から1枚取って手を拭き、ゴミ箱へくしゃくしゃと丸めて投げ捨てた。
コップに水を汲み、うがいをして残ったコップの水を捨てながら蛇口を捻って水を流し、コップを軽くすすいで元の場所に戻すと、キッチンに向かった。