深夜のコンビニ①
女の子がコンビニに他のお客さんがいるかどうかキョロキョロと眺めながら近づいていくと、店内に一人買い物をしている客が見えた。
今度は店員がレジにいるかどうかを確認したが、見たところレジには誰もいないように見える。自動ドアを開けると、来店を告げるチャイムが鳴り響いた。
「・・いらっしゃいませ~・・」
男の店員の少し抑え気味の声はしたものの、その姿はなく深夜なので雑誌の入れ替えでもやっているのか・・と雑誌コーナーに目をやると、思ったとおり店員が屈んで雑誌の入れ替えをしている。
雑誌コーナーの方にとりあえず向かい、自分がコーナーに入ってきたにも関わらず、どけようともしない、男の店員をちらりと横目で見た後、一通りファッション誌などの表紙を眺めた。
そして、ゆっくりと缶・ペットボトルの飲み物コーナーに歩いて行き飲み物を物色していると、そこに見たことのない商品を見つけた。
「・・新発売か・・。・・夏季限定・・。・・ふ~ん、飲んでみたいな・・。・・でもコンビニは高いから、次のスーパーの買い物の時に購入するとするか・・。・・スーパーかドラッグストアにあればもっと安い・・」
女の子は新発売の夏季限定の清涼飲料水を衝動買いしようかと迷った。この深夜の時間帯のぼーっとした頭でなければ、いつもの自分ならば見向きもしないはずだったが、少しだけ誘惑に引っかかってしまった。しかし、一瞬そう思ったもののすぐにいつもの冷静な判断で先送りした。
誘惑を断ち切った後、目当ての牛乳のあるコーナーに足を向けながら、横目で店内中央の方にあるカップ麺コーナの棚の方を見ると一人の客がパンと、ペットボトルの飲み物と、カップラーメンを1つ持って、キョロキョロしながら、レジに向かおうか迷っている。
女の子はその客の様子をじっと見つめた後、作業する音のしている目当ての牛乳コーナーにつかつかと歩いて行った。