図書館へGO①
桐野玲はまたさっきの続きができそうだと新地結菜の様子を期待してじっと見つめている。
新地結菜は目を瞑り、カウンターに頭をのせ、両腕を投げ出したまま動かない。
桐野玲は少しドキドキしながら板チョコを割ってそのひとかけらを新地結菜の口元に運んで唇にそっと触れさせた。
新地結菜は薄目を開けてチョコレートを確認するとそれにパクッとかじりつく。
「・・う~んっ・・やっぱりおいしい♪」
新地結菜はまた、カウンターテーブルに頭を置いたまま、薄目を丸く開いておいしい♪ と微笑んだ。
桐野玲はその様子を見ながら喜んでいる。
チョコレートをすっかり食べ終えると新地結菜はガバッと頭を起こし、お盆を持って席を立った。
「・・もう行くの? ・・もう少し食べさせたかった・・」
桐野玲が残念そうにしているのをよそ目に、新地結菜は颯爽と談話室を抜け、お盆を下げに行った。
桐野玲は新地結菜のキビキビとした動きを憂鬱そうに見送った後、カウンターに頬杖をつき、溜息をついた。
「・・玲! ・・もう行こう! ・・まさみがもうそろそろニヤニヤが止まらなくなり始めている頃だよ! これ以上遅くなるとまさみのニヤニヤが一日中止まらなくなってしまうよ! そうなったら面倒だよ!」
「・・はいは~い・・。・・これからレポートと思うと・・気が重いな~、は~・・」
新地結菜が談話室に戻ってきて声をかけると、桐野玲は気が進まないらしく、バッグを両手に抱え、ようやく席を立ち、足取り重く談話室の出口にのろのろと向かい始めた。
「それじゃ・・行きますか?」
「・・それじゃ・・やっぱり行きます・・?」
「行きますよっ! ・・さっさとレポートを片付けて“打ち上げ”だ!」
桐野玲は予期せぬ言葉に目を見開いた。頭の中に新地結菜の“打ち上げだ・・打ち上げだ・・打ち上げだ・・”という言葉が何度も鳴り響いた。




