学食にてランチ⑧
新地結菜が口元付近に食べやすいようにレンゲを構えていると、桐野玲は少し不満そうにしながらもレンゲによそわれた冷やし中華にぱくりと食いつく。
桐野玲が少し険しい表情をして口をもぐもぐさせ冷やし中華を食べている様子を少し眺めると、新地結菜も早速冷やし中華をずずっと食べ始めた。
「あ~っ・・やっぱり学食の冷やし中華はおいしいな~・・玲? ・・おいしいでしょ?」
「・・まぁ・・まぁまぁだね・・。・・お菓子の次においしいかな・・」
その後は新地結菜が冷やし中華を二、三口食べると桐野玲にレンゲによそって一口食べさせる、を続けて、二人でそれほど時間をかけずに昼食を取り終えた。
「・・あ~あ・・ちょっと食べ過ぎたかな・・。・・冷やし中華食べ過ぎたかな・・」
「・・あ~、おいしかった・・♪ ・・やっとお腹が落ち着いたよ・・。・・さてと・・じゃあ、まさみを待たせるのもあれだから・・図書館へ行こうか?」
新地結菜はコップの水を少し飲みながら桐野玲を促した。
「え~っ! もうちょっと休もうよっ! まだ食べたばっかりなんだから・・そんなに慌てないで、ねっ! ・・もう少しだけ・・」
「・・そう? じゃあ少し休んじゃう? あたしも少し休んでもいいかな~と思ってた、じゃあちょっと休憩~・・」
新地結菜はそう言うと、お盆を自分の右側によけ、両腕と頭を投げ出すようにカウンターに置いて一息ついた。
桐野玲はその様子を横目で伺いながらもバッグから、板チョコを出してこっそりと食べ始めた。
「・・ちょっと! ・・玲っ!」
「・・わっ! ・・急に声をかけないでよ~・・。寝てると思ったのに・・。・・びっくりするじゃん・・」
「・・あたしにもひとかけら、ちょうだい♪」
「・・えっ? ・・珍しいね~・・♪ “もっとご飯食べられたんじゃないの?”って怒られるのかと思ったら・・いいよ~ほら、はい♪」
「・・う~ん! ・・おいしいっ♪」
新地結菜は頭をカウンターテーブルに置いたまま桐野玲にチョコレートをひとかけら食べさせてもらい、目を丸くして喜んだ。