学食にてランチ⑦
「自分が遅れてきたんでしょうが~・・。・・もう、しょうがないな・・はい、あ~ん・・」
桐野玲は不満たらたらという感じだったが、新地結菜の勢いに押されて観念して口を開けた。
「・・ほ~ら♪ ・・どう? ・・あたしのチョイスに間違いがあるって?」
「・・う~ん・・。・・なんか・・悔しいけど・・そんなに悪くないな・・。・・じゃあ、もう一口だけ食べようかな・・。あ~ん♪」
新地結菜は桐野玲の調子の良さに微笑みながら、もう一口を口に運んであげた。
「・・う~ん・・悪くはないかな・・でも、お菓子の方がおいしいなやっぱり・・。・・まぁ、悪くはないよ・・でも、今日はこれでもういいかな・・後は冷やし中華少しでいいよね?」
桐野玲は手で口を押さえ押さえ、口をもぐもぐさせながら新地結菜に言った。
「玲、お菓子を先に食べてなければホントはもっとおいしいんだよ? ・・お菓子を食べる前に食べないと・・。・・あたしがもう少し早く来ていれば玲がお菓子をたくさん食べてしまう前にもっと食べさせられたのに・・。
お菓子、どれだけ食べたの? ・・“ぽっちゃりとんぼメガネ”のせいで玲が体調を崩しでもしたらどう責任をとってくれるつもりなんだ! ・・まったくもう・・」
「“ぽっちゃりとんぼメガネ”?」
「ああっ、いや、何でもないよ」
“ぽっちゃりとんぼメガネ野郎”のことをふと思い出し、罵ったが、新地結菜は目の前のおいしそうな食事が目に入るとすぐに気分を回復し、早速食べ始めた。
コールスローと、ひじきと切り干し大根の煮物をほとんど食べ終えると、メインの冷やし中華に移っていった。
「・・おっ・・いよいよ冷やし中華か、少しだけ待ってましたよ~」
新地結菜は持ってきていたレンゲに麺と具をバランスよく盛り付けて桐野玲の口元に運んだ。
「・・野菜はそんなにいらないのに・・。・・ラーメンだけでいいのに~・・」
「・・いいからいいから・・。ほら食べて・・」




