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学食にてランチ⑥

 新地結菜は自分の席に置いてあったトートバッグを足元に下ろして座り、両手を合わせて“いただきま~す”と言うと嬉しそうに箸を取り、早速コールスローサラダを口に運んだ。


 「・・う~んっ! 今日もおいしいな~・・玲、ほらっ・・あ~んは?」


 新地結菜が自分の口も“あ~ん”と開けながら桐野玲の口元にコールスローサラダを運んだ。


 「・・あ~、もう! ・・冷やし中華にしてよ・・。・・そっちの方がいいよ・・」


 「・・まずはサラダからだよ・・。・・ほら、あ~んは? 早く、早く!」


 桐野玲は少し恨みがましい目をしながらも観念したようで口を“あ~ん”と開けてコールスローサラダを一口。


 「・・う~むっ・・。・・あれ? ・・コーンの甘みが・・コーンとキャベツがさっぱりとしたマヨネーズであえられていて悪くないな・・。・・はい、あ~ん♪」


 桐野玲は自分が思っていた以上にコールスローサラダがおいしいと分かると、次の一口を要求した。


 「・・まったく、調子いいなー、ちゃんとあんたが食べられそうなものを選んできてるんだよっ。お菓子だけじゃ栄養が偏って生きていけないんだから。・・はい、あ~ん」


 しょうがないな・・と口では文句を言いながらも新地結菜は桐野玲に食べさせるのが楽しいらしく、すぐにもう一口を桐野玲の口に運んであげた。


 「・・う~ん・・そんなに悪くないね・・。・・次は? ・・冷やし中華かな・・」


 「・・ふふん♪ ・・まだだよ♪ ・・次はね・・ちょっとハードルが高いかな・・。・・次は・・ひじきと切り干し大根の煮物だっ! はい、あ~ん!」


 「えーっ! それはいいよ~! それはいらない! ・・絶対まずい、いやだよ~・・」


 「・・何言ってるの、おいしいよ・・うちの学食のメニューでおいしくないものなんてないんだから! ・・ほら、早く食べて! ・・時間ないんだから! はい、あ~ん!」


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