学食にてランチ④
(・・今日はなんか、いつもおいしそうだけど、いつも以上においしそうだ・・。おばちゃんの冷やし中華作りから目が全く離せていない・・。
あっ、そうだったか・・。昼まで寝過ごしてまだ豆乳一杯しか食事を取っていないのか・・。しかも全力ダッシュしてしまったから・・。・・なるほど・・。精神的にもかなり消耗したしな、それでか・・)
新地結菜は自分の今の心理状態がいつもと違っていることにふと気がつき、冷静に分析した。どうやらいつもよりもずっと空腹感が強くなっているためのようだという結論に至り納得した。
「・・は~い! お待たせしました~! 冷やし中華でーす!」
「・・は~い! ありがとうございま~す!!」
いつもより大きな声で嬉しそうに冷やし中華を受け取ってしまっているのが自分で分かり、また周囲を見回す。やはり数人には見られていたが、思ったよりは目立っていなくて安心した。冷やし中華を受け取ると学食のレジに足早に向かった。
「・・コールスローサラダに、ひじき、切り干し大根の煮物・・冷やし中華ですね・・。・・510円でーす」
バイトの女子学生が小気味良くレジを打ちながらそう言うと、新地結菜は急いで財布からPdyを取り出しそれをバイトの女子学生に見せて端末にかざし、プッヨ~ン♪ とやってお会計を素早く済ませた。
レジを少し離れたところに箸、スプーン類が置いてあり、そこから箸とレンゲを取った。そこに給水器もあり、コップに半分程水を汲んでお盆に載せると、談話室までの道のりを見通した。学食の席はほとんど埋まっていたが、立ち歩いている人は少ない。
手に持っているお盆の重みとバランスを確かめると、最初はゆっくりと談話室に向かって歩き始めたが、進行方向と昼食の載ったお盆を交互に見ながら、次第に歩くペースを早めていった。