ホットミルクが必要①
「・・そうだ・・ホットミルクだ・・。この高ぶった気持ちを落ち着かせるにはやっぱりホットミルクが一番だ。・・ホットミルク・・」
女の子は苦心した末にホットミルクを飲んで落ち着こうと冷蔵庫の前までパタパタとスリッパで歩いていき、冷蔵庫の冷蔵室のドアを開いた。この下りもこの頃は毎日やっている。
冷蔵庫のドアポケットの一番下の段に封を切ってある『低脂肪乳』が1本入れてある。
『低脂肪乳』を冷蔵庫から取り出そうと手を伸ばしたが、途中でその手を止めて待てよ・・と、それを訝しげにじっと見つめた。
数秒間の間、『低脂肪乳』と書いたパッケージと睨み合った後、意を決したようにえいとそのパックを冷蔵庫からおみくじを引くかのように引っ張り出した。
「・・あ~! やっぱりそうだったか・・。・・全然入ってない、これじゃあ、カップ1杯どころか3分の1にも及ばない感じだ。
なんでこんな時にないの~あ~もう、あの野郎~! ここ数日、毎夜、毎夜ホットミルクをあたしにマグカップでたっぷり2杯ずつとたらふく飲ませてお腹をたっぷんたっぷんにしたあげく、今日はもうミルクはありませんだと? ・・ふざけんなっ! あたしは1週間ごとにきちんと1週間分の食料、飲み物その他もろもろを計画的に買ってきてるんだよっ!
“ぽっちゃりとんぼメガネ野郎”の予期せぬ合格のせいで、まさかこんなことになるとは・・。あたしがお前みたいにぽっちゃりしたらお前のせいだからなっ!!」
と一通り女の子はここ数日自分を夜中になると散々に思い悩ませている“ぽっちゃりとんぼメガネ野郎”を罵ると、機嫌悪そうにしながらも、自分の格好をまじまじと見つめた。